【医療保険】次期改定の基本方針へ議論開始/医療保険部 会、一体改革関連を先行
社会保障審議会・医療保険部会は7月25日、2014年度診療報酬改定の基本方針策定に向けた議論に入った。まずは社会保障制度改革国民会議が8月にまとめる社会保障・税一体改革関連のテーマを先行して議論し、それ以外の事項は秋以降に議論する。一体改革関連に限定した基本方針や「議論の整理」をまとめる可能性もある。最終的な基本方針は従来通り11−12月に策定する。
●消費税財源を次期改定に
厚生労働省保険局の宇都宮啓医療課長が、中医協で前倒しで進めている議論の状況を説明し、自由討論した。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「次回改定は地域に密着した医療の大幅な充実を図るべき」と主張。消費増税の関連では「一体改革では医療サービスの充実に消費税財源を充てるとされている。引き上げ財源のメーンを次回改定に充ててほしい」としつつも「一体改革は25年に向けたもの。次回改定で一気に進める性急なやり方をすれば、現場は大混乱する」と注意も促した。
菊池令子委員(日本看護協会副会長)は訪問看護の強化などを主張。森昌平委員(日本薬剤師会常務理事)は、調剤報酬改定で残薬の管理など薬剤師機能の評価が必要だと訴えた。岡誠也委員(全国市長会国民健康保険対策特別委員長、高知市長)は「療養病床の診療報酬を低く押さえ込まれると医療難民が出る」と配慮を求めた。
●効率化「工程表に落とし込んで」
武久洋三委員(日本慢性期医療協会長)は効率化の重要性を強調した。「われわれは医療費や介護費を少し上げてくれと当然要求するわけだが、医療提供側として、効率化できるところは自ら協力する姿勢も必要だ」と指摘。具体的には「急性期の病床が療養病床の何倍もあるのはおかしい。急性期病院にたくさんの慢性期患者が入っている非効率さは改善しないといけない」と強調した。消費増税については「拡大する社会保障費をカバーするために消費税を上げると言っていたのが、いつの間にか消費税の一部しか社会保障に使われないという風潮が出てきている」と懸念を示した。
白川修二委員(健保連専務理事)も「充実と同時に効率化を進めないといけない」とし、一体改革が構想している医療・介護分野の重点化・効率化で0.7兆円捻出という試算について「このままでは絵に描いた餅になる。厚労省には工程表に落とし込む形で具体的な政策作りをお願いしたい」と求めた。地域包括ケアを進めるに当たっては「診療報酬と介護報酬で全部やるのは財政的に不可能なので、補助金をうまく併用して計画的に進めるべき」とした。(7/26MEDIFAXより)