【医療事故調】医療事故調創設へ、大枠を取りまとめ/厚労省検討部会が報告書
厚生労働省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」(座長=山本和彦・一橋大大学院教授)は5月29日、再発防止と原因究明を目的とする医療事故調査制度の創設に向け、予期せぬ診療関連死を対象とする制度の大枠について意見を取りまとめた。厚労省は内閣法制局などと法制化が必要な事項について検討し、秋の臨時国会への提出を想定している「医療法等の一部を改正する法律案(仮称)」に盛り込む予定だ。
●詳細はGLで、6月にも検討の場
制度の大前提となる各医療機関における院内事故調の手順や、新たに設置する中立的な第三者機関への届け出など、制度運用上の詳細についてはガイドライン(GL)を策定する。GL策定については厚労省が新たに検討の場を設け、早ければ6月中にも検討を開始する。
これまでの議論を踏まえて厚労省が提示した「医療事故に係る調査の仕組み等に関する基本的なあり方案」に基づき議論した。文言の修正と、一部の事項に反対意見があったことを盛り込むことも決め、同検討部会の総意をまとめた報告書とした。
報告書は▽調査の目的▽調査の対象▽調査の流れ▽院内調査の在り方▽第三者機関の在り方―で構成。予期しない診療関連死が発生した場合、医療機関がまずは遺族に十分な説明を行い、第三者機関に届け出るとともに速やかに院内事故調査を実施することとした。院内調査の結果は第三者機関に報告する。第三者機関は医療機関からの報告を確認・検証・分析し、再発防止策の普及・啓発に取り組む。
●都道府県医師会など支援組織に登録
院内調査は、第三者性の担保として外部の医療専門家に支援を求めることが原則。規模の小さい医療機関など必要な専門家をそろえることが難しい場合に対する支援や連絡・調整の窓口機能を担う体制として、都道府県医師会、医療関係団体、大学病院、学術団体を「支援法人・組織」として登録する仕組みを設けることも決めた。
第三者機関の業務としてはこのほか▽医療機関からの求めに応じて院内調査の方法などを助言▽遺族または医療機関の求めに応じて実施する医療事故調査▽「支援法人・組織」や医療機関で事故調査などに携わる者への研修―を挙げた。(5/30MEDIFAXより)