【医療事故調】医師法21条の解釈、整理して周知/厚労省・田原医事課長
厚生労働省医政局医事課の田原克志課長は5月29日の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」(座長=山本和彦・一橋大大学院教授)で、医師法21条の解釈について整理し、周知する考えを示した。周知する時期については言及しなかった。医師法21条の解釈については医療界で「全ての医療事故を警察に届け出なければならないとの誤解が広がっている」との指摘があり、厚労省に対応を求める声がある。
同検討部会は会合で、予期せぬ診療関連死を対象に再発防止と原因究明を目的とする医療事故調査制度の創設に向け、同検討部会の総意を報告書に取りまとめた。取りまとめに際して厚労省は、これまでの議論の経緯やこれまでに上がった意見・反対意見などを報告書に追加するための文章案を提示。その中に「医師法第21条の解釈についてあらためて周知を図るべきとの意見があった」との記載があり、議論になった。
飯田修平構成員(練馬総合病院長)は「(今回まとめる医療事故調については)医師法21条は関係ないということで議論している。誤解を招くので削除してください」と求めた。加藤良夫構成員(南山大大学院教授、弁護士)も削除すべきとした。このため今回の報告書には記載しないことになった。
ただ、有賀徹構成員(昭和大病院長)は厚労省が文章案に記載した趣旨について「医師法21条の解釈とは、この間(2012年10月26日の同検討部会での)医事課長が発言したことでよいか」と質問。これに対し田原課長は「そのことも含めて、整理をした方がよいのではないかという趣旨」と説明し、「整理したものを周知することになる」と述べた。
12年10月の同検討部会の議事録によると、田原課長は「厚労省が診療関連死について届け出るべきだ、というようなことを申し上げたことはないと思っております」とした上で、「検案をして、死体の外表を見て、異状があるという場合に警察署の方に届け出るということでございます」と述べている。(5/30MEDIFAXより)