【医療事故】消費者庁が医療事故も調査?/厚労省検討部会「びっくり」
消費者庁消費者安全課の白石裕美子課長補佐は12月14日、厚生労働省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」(座長=山本和彦・一橋大大学院教授)に出席し、改正消費者安全法に基づいて10月1日に設置された「消費者安全調査委員会」の調査対象に、現時点では医療事故も含まれているとの認識を示した。ただ、「一般的に医療事故をどのように考えるかは整理した方がよいということで、引き続き議論することになっている」とも述べ、消費者安全調査委での医療事故の取り扱いはまだ決まっていないと説明した。
消費者安全調査委は、生命・身体分野の「消費者事故等」について「発生・拡大防止および被害の軽減を図るために原因究明する必要性が高いもの」を調査対象とする。国土交通省が設置している独立行政機関「運輸安全委員会」の調査対象「航空」「鉄道」「船舶」に関する事案は除く。
調査対象の選定は▽各行政機関から消費者庁に報告される情報▽国民からの調査申し出▽報道機関による情報―で集まる事案のうち、優先順位が高いかどうか消費者庁か調査委の委員が指針に基づいて判断する。調査委は発足以来すでに3回開かれており、医療についても議論したという。白石補佐によると、医療に関する国民からの申し出もすでに届いているという。
●「突然出てきた」「不適切だ」
医療事故調査検討部会の里見進構成員(東北大総長)は「ここ(同検討部会)では医療界の自律性を持った仕組みを検討してきた。そこに突然、医療事故も調査・評価する組織ということで出てきた。いつどこで、誰が決めたのか。びっくりしている。われわれは何を議論していたのか」と不快感をあらわにした。
飯田修平構成員(練馬総合病院長)は商品の欠陥などモノの事故と、ヒューマンエラーの医療事故は性質が異なると指摘し「区別しているのか」と質問。消費者庁の白石補佐は引き続き議論すると述べるにとどめた。有賀徹構成員(昭和大病院長)は、消費者安全法で規定する「消費者事故等」に、医療事故が最初から含まれていたとは思えないとし「不適切だ」と語気を強めた。(12/17MEDIFAXより)