【医療ナンバー】医療ナンバー制度「医療政策に必須」/中医協の森田会長  PDF

【医療ナンバー】医療ナンバー制度「医療政策に必須」/中医協の森田会長

 中医協の森田朗会長(学習院大教授)は2月14日、国民医療ナンバー制度について「医療政策の観点からも必須の制度であると思っている」と述べた。医療ナンバー制度によって蓄積された情報は現在の医療ばかりでなく、将来の医療・医学の発展に大きな貢献をなし得るとも述べ、制度創設への期待を示した。東京大で開かれた国民医療ナンバー制度についての国際会議で話した。

 森田会長は内閣官房IT戦略本部で「電子行政に関するタスクフォース」の主査を務めている。国際会議では在宅医療に焦点を当てた医療ナンバー制度の有用性について話し、行政サービスの電子化を早くから進めてきたエストニアをモデルに、個人に振り分けた番号に蓄積された患者情報を多職種で共有するメリットを説明。高齢社会で患者情報の共有と効率的な使用で得られるメリットは、リスクに比べてはるかに大きいと強調するとともに、個人情報保護の観点からのリスクはアクセスをコントロールすることでセキュリティーを確保できるとした。

●専門職の移動時間「もったいない」
 行政学研究者の考えとして森田会長は、在宅医療について「実際のニーズに対してかなり不足するのではないか」との認識を示した。その上で、どのように在宅医療提供体制を支えなければならないかを考える必要があるとし、中医協で議論を始めていると説明した。ただ、「限られた保険財政で経済的インセンティブを使いながらやっていくのはなかなか難しい」とも述べた。

 日本にとって高齢化以上に大きな問題は国家財政だとした上で、「だからといって医療をやめるわけにはいかない」とし、医療体制の改革をしていかなければならないと述べた。限られた資源をいかに効率的に使うかが課題だとも述べ、「そこで在宅医療を進めていくことになる」と話した。

 在宅医療では効率的な多職種の組み合わせが重要との考えも示した。また、高度な専門職であるほど時間当たりのコストは高いことから、専門職が在宅訪問などの移動に時間をかけることは「資源の使い方としてはもったいない」と指摘。高度な専門職であるほど移動しない方がよいとして、患者が専門職の所へ行けないのであれば「そこをつなぐのは情報の問題だ」とITの活用による解決を提案した。医療では専門職と同様に「情報」が貴重な資源であり、効率化を考えるときのポイントになるとも説明。患者の健康状態や生活状況などの情報を多職種がどこにいても共有できることが、医療の質を高めて効率化するための重要な要素ではないかと話した。(2/15MEDIFAXより)

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