【医学部】同志社大の医学部設置検討に「断固反対」/京都府医・森会長
京都府医師会の森洋一会長は12月11日、京都府庁内で記者会見し、「医学部新設には断固反対していく」との声明を発表した。声明は「京都府内においても医学部新設を検討している大学があるとの報道があった」とし、大学名を挙げてはいないものの、11月30日に「医科大学(医学部)設置基本計画検討チーム」を学内に設置することを発表した同志社大(京都市、八田英二理事長)の動きを厳しく批判するものとなっている。</p
森会長は声明で、医学部新設反対の背景について▽2008年以降、医師不足解消のため医学部定員枠を増大し、すでに1400人程度の定員増が図られ、これは医学部10数校の新設に相当する▽人口対比医師数トップの京都府でも、医師偏在の解消に地域医療支援センター、京都府医、既存大学協働で取り組んでいる▽日本医師会推計では現状の定員増で25年には先進諸国と同程度の医師数が確保され、人口減少が進展すれば医師過剰状態となる▽医学部の新設は多数の教員確保が課題となり、医師を含めた医療系の人材不足の一因になる―などと説明。京都府の病院団体など他の医療関係団体と共に「将来展望のない医学部新設など地域医療を崩壊に導きかねない対応には断固反対していく」との方針を明確に示した。
同志社大は12年1月から学内にプロジェクトチームを設置して基本計画作りを進めてきた。11月にはより本格的な検討を行うことを目的とする検討チームの設置を公表。八田理事長は11月30日に開いた会見で、検討理由について「同志社は医学を含んだ総合大学にするというのが建学以来からの悲願」とする趣旨の説明をしていたが、森会長は声明で「明治のころの建学の思いを現代の医療状況、医師、看護師の需給の将来推計をも顧みず果たそうとすることは、良識の府である大学の見識にも関わる大きな課題だ」と批判した。
ただ、同志社大は医学部あるいは医科大の新設について、東日本大震災の影響を受けた東日本の自治体と連携して進めていく方向も示しており、京都府を含む関西地区での新設の可能性は低いとみられている。この点について森会長は、「個別の問題にだけ反対しているのではない。全国的な動きがある中で考えを述べた。(医師数の問題は)地域医療全体でニーズに合わせて考えていかないといけない」と述べ、全国規模でも医学部新設を必要とする理由の根拠は見当たらないとの見解を示している。同志社大による医学部・医科大新設構想については、北海道函館市が誘致に積極姿勢を示していると伝えられるなど、東日本から複数のオファーがあるとみられている。(12/12MEDIFAXより)