【労災レセプト】労災レセプト審査「国審査が妥当」/厚労省検討会が報告書
衆院決算行政監視委員会の指摘を受け、国が行う労災診療費レセプト審査事務の社会保険診療報酬支払基金への委託を検討している厚生労働省の「労災診療費のレセプト審査事務に関する検討会」は5月29日、委託するよりも、国が審査する現行方式の方が妥当とする報告書を了承した。政府は今後、同検討会での議論を踏まえて衆院決算行政監視委に状況を報告する見通し。
国が行っている労災レセプトの審査事務をめぐっては、衆院決算行政監視委が2011年12月に「支払基金などへの委託について検討を進めるべき」との決議を採択。6カ月以内に対応状況を報告するよう政府に求めた。これを受け、厚労省労働基準局労災補償部は3月に同検討会を立ち上げ、議論を進めてきた。
報告書では、業務上の負傷・疾病とそれ以外の私傷病とを区分するといった労災固有の審査は、労災保険給付を支給するかどうかを決める行政処分と切り離せないとし「支払基金へ委託することは困難」と指摘。支払基金の業務と範囲が重なる診療報酬点数表に基づく労災レセプト審査の委託については▽どの程度の審査・査定となるか不明▽現在の審査期間より長くなり、結果として指定医療機関などに負担を生じさせる懸念がある▽一定の仮定下で費用を試算したところ、国の負担が0.6億−1.7億円の増となり費用面でのメリットは実証できない―などを理由に挙げ「国が審査した方が効率的かつ効果的」とまとめた。
ほかの団体への委託については、支払基金への委託と同様の課題があると指摘。専門医の確保や、指定医療機関が査定をめぐって不服を申し出た際の紛争調整体制整備なども課題に挙げ、国が審査する現行方式の方が妥当とした。(5/30MEDIFAXより)