【加減算制度】474保険者で負担増、財源5.8億円/加減算制度で厚労案
厚生労働省は3月22日の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」で、2013年度に導入する後期高齢者支援金加減算制度の具体案を提示した。厚労省が推奨した案によると、加減算制度の財源は約5.8億円になる見通し。加算(負担増)される保険者数は▽市町村国保=77▽国保組合=76▽単一健保=272▽総合健保=45▽共済組合=4、合計474。加算される保険者の加入者数は492万人。加入者1人当たりで年間114−127円の保険料負担増になる。加算率は0.23%。
一方、減算(負担減)される保険者数は▽市町村国保=9▽国保組合=0▽単一健保=30▽総合健保=1▽共済組合=1、合計41。加入者総数は30万人。1人当たり1933円の保険料負担減になる。減算率は3.7%。
厚労省が推した案によると、市町村国保よりも単一健保の方が高い実績を挙げているため、調整を加えて保険者種別の差を埋める。その上で、特定健診と保健指導の実施率を掛け合わせて「調整済実施係数」をはじき出し、これをボーダーラインとして、取り組みが遅れている保険者に加算する。そこから出された財源を、取り組みが進んでいる保険者にインセンティブとして与える。ボーダーラインはクリアしているものの、目標達成には届かない中間層の保険者には、加減算ルールは適用しない。
特定健診・保健指導の取り組みが進んでいない保険者では事業費も少ないとみられるため、10年度に全保険者が支払った後期高齢者支援金の総額(4兆9713億円)に占める10年度特定健診・保健指導の総事業費(225億円、公費除く)を算出し、さらに、それを半分にして加算率を「0.23%」で確定させた。
市町村国保は規模によって特定健診・保健指導の実績に差があるため、人口5000人以下、5000−10万人、10万人以上の3段階に分けた。また、災害など特殊事情があるケースでは、加減算ルールを適用しないことにした。
厚労省は検討会で、加減算制度を創設するに当たって2つの案を提示した。1つ目の案は、まず加算対象を先に決め、出された財源を目標達成した保険者で分配するという仕組み。この場合、保険者への負担増があらかじめ分かるというメリットがあるが、多くの保険者が目標を達成した場合には減算のインセンティブが減ることになる。
逆に2つ目の案として、まず減算率を決めてインセンティブを確保したのち、必要財源をその他の全保険者で分担するという考え方も示した。厚労省は「保険者財政に大きく影響しない」との考え方から、1つ目の案を推奨した。
白川修二構成員(健保連専務理事)や保坂シゲリ構成員(日本医師会常任理事)らは厚労案を支持。逆に山門實構成員(日本人間ドック学会理事)は「インセンティブが必要だ」として2つ目の案を支持した。協会けんぽは判断を留保。岡崎誠也構成員(全国市長会・国民健康保険対策特別委員長)は「制度そのものに反対」としつつも「加算が年額110円程度ならば比較的妥当な範囲」と一定の評価をした。(3/23MEDIFAXより)