【再生戦略】自然増容認の考え「変わらず」/再生戦略決定で古川担当相
政府の国家戦略会議(議長=野田佳彦首相)は7月30日の会合で、医療、環境、農林漁業の3つを重点分野にした日本再生戦略をまとめた。7月31日に閣議決定する。原案と比べ「社会保障分野を含め、聖域を設けずに歳出全般を見直す」など、予算編成に向けた記載が設けられた。古川元久国家戦略担当相は会議終了後の記者会見で「社会保障分野を聖域としない」という言葉の意味について、「考え方が変わったわけではない」と述べ、社会保障費の自然増を認める民主党政権のスタンスを変えたわけではないとした。
日本再生戦略には、今後の予算編成過程で取り組むべき6項目が盛り込まれた。その中に「社会保障分野を含め、聖域を設けずに歳出全般を見直す。その際、行政事業レビューの結果と会計検査院の過去の指摘事項などは、2013年度予算において確実に反映させる」という項目がある。
古川担当相はこの意味について「これまでも予算編成の中で自然増は含んでいる」とする一方、「社会保障とはいえ、効率化や重点化をしないということではなく、そこはきちんとやろうということ。今回の再生戦略で、これまでと考え方が変わったわけではない。これまでの取り組みをしっかりやっていこうと確認をしたと理解してほしい」と述べ、自然増に切り込む意図を込めた記載ではないとした。
一方、自然増を認める方向性がすでに(政府で)確認されたのかという質問に対しては「これから再生戦略を受けて、予算編成についての取り組みが始まる。その中で議論をしてまいりたい」と述べるにとどめた。
●医療・介護・健康関連で50兆円の新市場
再生戦略は、医療、環境、農林漁業の3分野と、それを支える中小企業の活力向上を「3分野4大プロジェクト」とし、最優先課題に位置付けた。医療・介護・健康関連サービスの育成と雇用創出で、20年までに約50兆円の新市場と、新規雇用284万人の創出を目指す。「地域における医師確保の推進、地域医療の再生を果たす」という文言も盛り込まれている。
再生戦略を実現するために予算編成で求める取り組みは?震災復興・福島再生への対応?グリーン・ライフ・農林漁業の重点分野は、府省横断的な予算配分を徹底?税制改正や規制改革を総合的に講じることで、重点配分の実効性を担保?重点分野を中心に、要求段階から各府省の類似施策の重複排除と、間接的関係予算の安易な計上排除?各府省一律の削減ではなく、政策・施策ごとにメリハリのついた配分を可能とする?社会保障分野を含め、聖域を設けずに歳出全般を見直す。行政事業レビューの結果と会計検査院の過去の指摘事項を、13年度予算に反映―の6項目。(7/31MEDIFAXより)