【内保錬】小児対応へ、在支診・在支病の要件見直し急務/内保連例会
内科系学会社会保険連合(内保連、工藤翔二代表)は10月22日、東京都内で例会を開き、次期診療報酬改定に向けて、病院・診療所から在宅へのスムーズな移行を実現するには、強化型在宅療養支援診療所(強化型在支診)と強化型在宅療養支援病院(強化型在支病)の成人対応の算定要件を小児対応も視野に入れて見直すことが必要との問題意識を確認した。
小児医療について安田正副代表(大宮医師会)は「近年の診療報酬改定において小児医療の評価については改善傾向が認められる一方で、都市部と地方で(収支などに)格差が出てきている。小児病院、小児診療所で縮小・閉鎖に歯止めがかかっていない」と述べた。このため▽小児入院医療管理料4と同管理料5の要件見直し▽小児の深鎮静の評価新設▽小児科外来診療料の包括項目の一部除外─などを挙げた上で、成人患者を重視する在宅医療の在り方を見直し「在宅小児医療」を充実させることができるような診療報酬上の体制整備が急務とした。
その上で、在宅小児医療の基盤整備は「小児のケアマネジャー」(病院勤務のMSWなど)への評価や、小児の在宅移行のための地域連携パスなど、一定の工夫で可能になると指摘。小児医療から成人医療まで一貫して社会資源が利用できるよう、強化型の在支診・在支病の要件を見直すべきとした。具体的な見直し案として▽強化型在支診は小児在宅では年間2例以上の看取り要件を撤廃。強化型で小児の在宅医療を行う場合に年間2例以上の小児の在宅人工呼吸管理症例とする▽強化型在支病に、小児急変時の受け入れが可能な中核病院や地域小児センターなど200床以上の病院を加える─などを挙げた。
小児在宅医療の問題については、内保連・在宅医療関連委員会の清水惠一郎委員長(日本臨床内科医会常任理事)も「小児には生活を支える介護保険がない。地域のインフラが乏しく、院内で小児のケアマネジャーの機能を担うスタッフへの評価が必要だ」と指摘した。在支診・在支病の算定要件の見直しについては「委員会としての議論はまだだが、成人を見据えた算定要件であり、小児在宅医療を充実させるためには一定の見直しが必要だと認識している」とし、「今後、中医協総会で小児医療の重要性を含め在宅医療の在り方について十分議論してもらいたい」と述べた。
このほか例会では、内科系技術評価に関する検討状況の報告をはじめ、生体検査に関する提言や内視鏡のワーキンググループについて報告があった。(10/23MEDIFAXより)