【共通番号】現物給付サービスは切り離して設計を/番号制度で日医総研WP
日医総研はこのほど、「医療分野におけるID番号のあり方に関する考察」と題したワーキングペーパーをまとめた。これまでの社会保障と税に関係する番号制度の議論を整理した上で、「医療分野、特に現物給付サービスの範囲は切り離して制度設計を進めるき」と提言した。
自民党政権下で議論され、2009年4月に報告された「社会保障カード(仮称)の基本的な計画に関する報告書」と民主党政権下の11年6月にまとまった「社会保障・税番号大綱」を比較した。両者の大きな相違点として「税務分野での利用の有無」と「番号を導入するかしないか」の2点を挙げ、社会保障カード(仮称)は税務分野での利用を含まず「番号」は導入しない、社会保障・税の番号制度は税務分野での利用も想定して「番号」を導入する―と整理した。
その上で、社会保障カード(仮称)は年金・医療・介護分野がターゲットで利用範囲も明確であるのに対し、社会保障・税の番号制度の根底には納税者番号があり、「番号」を何に使うかによって議論の方向性も大きく異なると指摘。税務分野への利用も含め、番号制度を導入した際の行政、医療機関、国民のメリットとデメリットをそれぞれ提示した。
また、患者が特定できるIDは医療情報のIT化や地域医療連携で必要との見方を示す一方、IDとなる「番号」を税の情報とひも付けることは「現段階では必要がない」と主張。番号制度は「税務分野+社会保障分野(現金給付サービスまで)」と「社会保障分野(現物給付サービス)」を分離して制度設計することが望ましいとした。(6/13MEDIFAXより)