【健康増進】健康増進分野の市場創出、官民で検討/政府の協議会が初会合
政府は12月24日、「日本再興戦略」や「健康・医療戦略」に基づき、健康寿命延伸分野の市場創出・産業育成に向けて、具体的・多面的な対応策を官民一体で検討する「次世代ヘルスケア産業協議会(座長=永井良三・自治医科大学長)」の初会合を開いた。公的保険外の民間製品・サービスの実態を把握し、需要・供給の両面から課題を抽出した上で、健康増進・医療費削減・経済成長の施策につなげていく。
同協議会では、経済界・学界をはじめ、各地域で健康ビジネスに携わる団体からも委員として参加。医療界からは日本病院会の堺常雄会長、日本慢性期医療協会の武久洋三会長、慶応大医学部の末松誠学部長などが選ばれ、健保連の白川修二専務理事も委員に名を連ねた。
まずは2014年6月の中間とりまとめに向け▽事業環境▽品質評価▽健康投資─の3ワーキンググループ(WG)を設置し、各2−3回の会合で産業界の課題を積み上げる。
●グレーゾーン解消へ、厚労省や日医とも連携
事業環境WGでは、民間の取り組み事例の共有や“グレーゾーン”の解消を目指し、政府が策定する予定のガイドラインに対して改善・拡充などを提言する。グレーゾーンとしては、医師の指導・助言に基づいて民間事業者が行う運動・栄養指導などが例示された。グレーゾーン解消のニーズを類型化し、厚生労働省や日本医師会などとも対応を精査して、ガイドラインに反映することを想定している。
品質評価WGでは、民間製品・サービスに対する評価・認証を導入することで利用促進が可能な領域を特定し、基準の在り方やスキームなどの検討を行う。健康サービスの品質などを確認・認証する非営利団体が活動している米国の例を参考に、協力可能な機関も検討する。
健康投資WGは、企業などの健康増進・予防の取り組みや投資対効果、業種別の健康状態傾向を把握し、経営層への効果的な働き掛け方を検討していく。先進事例としては、効果的な健康への取り組み・指導を行っている企業を評価し優れた企業に低金利で融資する日本政策投資銀行の「健康経営格付」などがある。
庶務を担う経済産業省ヘルスケア産業課の森田弘一課長によると、医療関係の委員からは「健康を医療だけで保てるわけではないので、自らがコストを払って健康管理を行うことも大事。しかし安全性が大事なので、一律的にやってはいけない。個別性を踏まえた目配りをしてほしい」との意見が出た。(12/25MEDIFAXより)