【保健指導】保健指導、重症化予防「強化型」を開発へ/厚労省が戦略研究
生活習慣病の「重症化予防」に特化した保健指導プログラムを新たに開発する厚生労働省の戦略研究が、2013年度から動き出そうとしている。13年度から始まる「第2次健康日本21」に生活習慣病の発症・重症化予防が目標に盛り込まれたこともあり、「重症化予防強化型」の保健指導を開発することで医療費適正化にもつなげたい考えだ。
研究代表者の磯博康氏(大阪大医学系研究科公衆衛生学教授)が具体的な研究実施計画書を作成中で、13年3月に最終的な計画書を厚労省に提出し、評価委員会の審査を経て実施が正式に決定する。
戦略研究では、現行の特定健診・保健指導の健診結果データから、今すぐ医療機関を受診すべきと考えられる「優先介入対象者」を抽出。抽出した対象者に対して、従来の「標準的な健診・保健指導プログラム」とは別の「重症化予防強化型」の保健指導プログラムを実施する。
対象者に対しては、医療機関と市町村の保健師チームが共同で介入する。研究代表者の磯氏は、これまでの保健指導では要治療者を医療機関につなげた後は医療機関に治療を任せることが多かったと指摘。強化型プログラムでは要治療者が医療機関を受診後も、保健師が家庭訪問や電話などで要治療者に個別に対応し、服薬の継続や生活習慣の改善を支援する。
対象者は40−74歳の市町村国保の被保険者で、研究への参加は市町村単位とする。強化型プログラムを導入する自治体は全国で10カ所程度(人口規模は10万−30万未満程度)を想定している。
研究期間は5年間で、従来の標準的プログラムに基づいた特定保健指導のみを実施している自治体と比較して効果を検証する。評価指標には「脳卒中・心筋梗塞の新規入院患者数」や「新規の人工透析導入数」など生活習慣病に直結する項目を設定する。
特定保健指導に該当しない「非肥満者」にも対応する。現在の特定保健指導の枠組みでは、肥満で高血圧や高血糖、脂質異常などの健康リスクがそろっている人を対象に保健指導を実施しており、健康リスクが高くても非肥満の人は対象になっていない。強化型プログラムでは、こうした非肥満の人に対しても保健師が個別的に介入し、生活習慣の改善指導を実施する計画だ。
特定健診の未受診者に対しても積極的な健診受診勧奨を行うほか、医療費や保険料の仕組みに関する理解も促す。(11/7MEDIFAXより)