【保健師】地域の健康課題解決に保健師の役割強化/健康局・矢島局長
厚生労働省は、2013年度にスタートする健康日本21(第2次)の一環として、地域の健康課題解決に向け保健師の役割を強化していく。専門分野別の配置を地区担当制に変更するなど、地域の実情を横断的に把握することで予防的介入を担ってもらう。矢島鉄也健康局長は2月19日、全国厚生労働関係部局長会議で各自治体担当者に向け、保健師の保健活動を「地区担当制にしていただきたい」と要請した。自治体は、厚労省が13年度中に発出する予定の関連通
知に沿って、保健師活動の方向性を検討していく。
厚労省の「地域における保健師の保健活動に関する検討会」(座長=内山博之・日本社会事業大教授)が1月にまとめた報告書案では、保健師の活動の本質を、地域を「みる」「つなぐ」「動かす」役割としている。従来の専門ごとの配置による縦割りを廃し、地域をブロックごとに包括的に目を配ることで、生活習慣病の発症・重症化予防の前線に立つことになる。矢島局長は、積極的な血圧管理など地域の健康課題の解決に保健師が携わった自治体で糖尿病患者が減少し、医療費の削減が確認された例を報告した。
矢島局長は取材に対し「生活習慣病は家庭環境の問題により引き起こされる。家族が生活する地域に入り込んで健康問題を把握し、解決できるのは保健師しかいない。地域の健康課題をあぶり出し、災害時対策にも役立てられる」と役割の重要性を強調した。さらに、「健診結果次第で受診勧奨をしたり、医療機関との連携にも重要な役割を担っている」と話した。
このほか部局長会議で厚労省は、重症化予防の施策として重症化目前の患者への食事摂取基準の検討も始めていると報告した。保健師が食事指導が必要と判断した重症化目前の患者は、管理栄養士から指導を受けることになる。
●自治体の常勤保健師数、12年度3万2124人
厚労省は19日、12年度保健師活動領域調査の結果を発表した。12年度の地方自治体の常勤保健師数は合計3万2124人で、うち都道府県が4959人(15.4 %)、市区町村が2 万7165人(84.6 %) だった。市区町村の保健師数は、保健所設置市が6913人(21.5%)、特別区が1163人(3.6%)、市町村が1万9089人(59.4%)。
常勤保健師数を所属部門別に見ると、都道府県では保健所に所属する保健師が7割を占めた。保健所設置市では保健所に所属する保健師が最も多く、特別区は市町村保健センター、市町村は本庁に所属する保健師が最も多かった。(2/20MEDIFAXより)