【会員投稿】鳥人間コンテスト〜遙かなる大空への挑戦〜

【会員投稿】鳥人間コンテスト〜遙かなる大空への挑戦〜

ふくちやま・舞夢MY夢 井土 昇(福知山)

 鳥人間をやっていてよく聞かれるのが、「航空力学などに詳しい、工学部出身の人が多いのですか?」ということなのですが、大学のチームがたくさん出ていることから、何か専門的な知識を必要とするように感じておられるのかもしれません。しかし、他のチームは別として、ふくちやま・舞夢MY夢は、元々、福知山青年会議所のメンバーが中心となり、青少年育成の事業として、地元の若い人たちに夢を持ってもらいましょうと、府立工業高校に参加を呼びかけて作ったチームですので、いろいろな職業や、いろいろな経験をしてきた人たちの集まりで、中には、工学部出身の人もいますが、ほとんどの人は工学とか航空力学とは無縁の人々の集まりです。

 私たち、ふくちやま・舞夢MY夢の機体設計・製作の基本コンセプトは「繊細で美しい!」であり、その美しさを追求するため、様々な工夫と、膨大な労力を惜しみなく注いできたつもりです。

 そもそも設計段階から、前方投影面積を極限まで減らし、流線型の流れるような機体を作ろうと、主翼をDAEに変更し、コックピットもカーボンモノコックのフレームに発泡スチロール削りだしとしたため機体先端から主翼、さらにボディーから主翼へのなめらかな移行が実現できました。

 DAE翼は作製精度の善し悪しにより著しくその性能が左右されるため、リブの製作段階で、リブ型を「コンピュータ制御のレーザーカッター」を使用して切り出し、その型に合わせて、自作の「発泡スチロールカッター」等を使用して、設計図に忠実なリブを1枚1枚作り上げることができました。

 できあがったリブを主桁に組み込む時にも、設計図に忠実に、メンバー全員が目を皿のようにして、慎重に1枚1枚を設置し、主翼の骨組みを作ってきました。主桁の補強には、ゴルフクラブのカーボンシャフトやカーボンの釣り竿を使うなど、経済性と軽量化を同時に実現できたと思います。

 こうして作り上げた主翼は全くといっていいほど歪みや段差がなく、長くて細い、シャープな刃のようであり、空気を切り裂き滑空する姿が目に映るようでした。

 ボディーを作製する際には、厚さ10cmの発泡スチロールを20枚張り合わせ、それぞれの接着部位での断面図を作製して、削りに削りたおしました。この方法で作りますと、機体が破損した際にも容易に補修が可能で、数年間は作り直しをせずにすみそうですから、これもまた、かえって経済的であったといえます。また、この方法は3次元のカーブを作り出すには絶好の方法であると自負しています。

 操縦系については、地元の工業高校出身で、今は大阪の大学に通うメンバーがコンピュータに詳しかったので、彼を電気系統の担当者とし、ラジコンの操縦機を改造・軽量化して、搭載しました。駆動部はサーボモーターなので、中立位等の細かな調整が容易です。

 1996年、第20回大会の時、初出場でいきなり3位に入賞できたのは、もちろん鳥人間の神様といわれる、佐々木昭司氏のアドバイスに依るところが大きかったといわざるを得ませんが、「佐々木詣で」をしてまでかなえようとした夢は半端なものではありませんでした。その後は地道な努力と、あふれる情熱と、あらん限りの体力を振り絞って、飛行機製作に当たってきました。夜中2時は当たり前、朝日を背に家路につくこともありました。

 その後1998年、2002年、2003年、2005年と計5回3位入賞ができました。なかなか3位の壁が越えられず、苦心惨憺もしていますが、毎年の夏の行事として定着し、楽しく熱く燃える夏を過ごさせていただいております。

 

2003年の「鳥人間コンテスト」より、(1)登場(2)インタビュー(3)過去の成績(4)搭乗(5)テイクオフ(6)飛んだ(7)飛んだ2(8)飛んだ3

(9)着水(10)記録は(11)やったぜ3位!

(編注)著者自身がフライトしたのは2003〜05年の3回。

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