【介護職】介護職に「段位制度」、政府10月にも導入/報酬に反映検討も
内閣府は、介護職の職業能力を“段位”で評価する「キャリア段位制度」を10月にもスタートさせる。将来的には段位制度を介護報酬上の評価に結び付けることを目指す。制度開始当初は、介護事業所が提供するサービスの質の高さをアピールするための材料として活用してもらう考えだ。
内閣府大臣官房の神田裕二審議官が5月11日、厚生労働省の「介護職員の処遇改善等に関する懇談会」で検討状況などを説明した。内閣府が検討を進めている段位制度は▽介護職▽食産業の生産・加工・販売の総合的連携を進める「食の6次産業化プロデューサー」▽省エネ・温室効果ガス削減などに関する「カーボンマネジャー」―が対象。職業能力をレベル1−7の“段位”で評価する。介護職は、介護サービスを提供するための「実践的スキルの評価」と、介護福祉士国家試験の枠組みなどと連動した「知識の評価」を合わせて段位を決定することを構想している。
内閣府の神田審議官は5月11日の会合で、介護職に対する評価の問題点として「各事業所で実施されている評価は“懇切丁寧に”など抽象的なものが多い」と指摘した。新たな段位制度については「実際に現場で何ができるのかを見えるようにするための制度」と説明。どういうスキルを身に付ければ上に行けるのかというキャリアアップの過程を明確化し、介護サービスを客観的に評価するための共通尺度の確立を目指すとした。
●質向上寄与なら報酬評価検討も/宮島局長
内閣府が段位制度を介護報酬上の評価に反映させる考えを示していることについて、厚労省老健局の宮島俊彦局長は会合後の取材に対し、キャリア段位制度が介護サービスの質向上に寄与すれば、介護報酬上の評価を検討することもあり得るとの見通しを示した。宮島局長は「段位制度が介護サービスの質向上に寄与していることが分かれば、次期改定に向けて社会保障審議会・介護給付費分科会がどう判断するか、ということになると思う」と話した。
●“評価者の標準化”が課題
会合では複数の委員が「段位の決定を左右する評価者の標準化が課題」と指摘した。評価者としては▽一定の実務経験のある介護福祉士▽サービス提供責任者▽事業所の管理者─などを想定しており、一定の講習を受講することを義務付ける予定。評価者が行う評価の妥当性や信頼性を評価する外部機関も設置する計画だ。神田審議官は「評価者を評価する外部機関について7月にかけて決めていく」と説明した。(5/14MEDIFAXより)