【介護保険部会】要支援者の給付範囲も議論に/社保審・介護保険部会  PDF

【介護保険部会】要支援者の給付範囲も議論に/社保審・介護保険部会

 厚生労働省は5月15日の社会保障審議会・介護保険部会に、これまでの議論や社会保障制度改革国民会議での整理案を踏まえ、持続可能な介護保険制度を運営するための論点案を提示した。地域包括支援センターの運営や生活支援・介護予防など「市町村での体制整備」と、利用者負担の在り方など「制度関係」について議論した。生活支援・介護予防に関して、厚労省は要支援者1・2の在り方までは議論を求めなかったものの、委員からは関連した意見が多く出た。

●効果なければ外すべき</b.
 河原四良委員(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン顧問・政策主幹)は介護予防に関連して給付範囲の適正化に言及し「給付サービスを適正化するためには、軽度・重度に関係なく自立に役立っているかの検証が大事」と指摘。財源の視点ではなく、自立の視点が大事だとして「自立に役立たないサービスがあれば介護給付から外すべき」と述べた。小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は「効果がないものは、給付から外すことも視野に検討すべき」と述べた。

●要支援と要介護の境も踏まえて
 結城康博委員(淑徳大総合福祉学部教授)は、予防給付の在り方を議論する際は要支援2と要介護1の境など、軽度者の状態像や認定状況を踏まえて議論することが重要だと指摘した。木村隆次委員(日本介護支援専門員協会長)は「単に給付を切る切らないの議論ではなく、元気な高齢者に元気なままで過ごしてもらう仕組みづくりの議論が必要」と述べた。
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●地域支援事業に期待も
 市町村が地域の実情に応じ、介護予防事業や介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業を行うことができる「地域支援事業」に対しては、さまざまな意見が出た。要支援者に対する予防給付を見直した場合の受け皿とみなす指摘があった一方、土居丈朗委員(慶応大経済学部教授)は「保険者機能を積極的に発揮できれば、地域支援事業でそれぞれの地域の高齢者のニーズに応じたサービスをオーダーメードで行える」とし、保険者の役割を強調した。

 厚労省老健局振興課の朝川知昭課長は「予防給付を見直す議論は決まった話ではない」と述べた。

 市町村の体制整備では、在宅医療・介護の連携推進も論点に挙がった。連携について医療のハードルが高いとの指摘に対して、高杉敬久委員(日本医師会常任理事)は「地域の医師会の頭を切り替え、在宅医療へ視点を向かせる」と述べ、介護関係者に理解を求めた。

 6月に開く次回の部会では▽在宅サービス▽施設サービス▽介護人材の確保▽認知症施策―を取り上げる。事務局によると、部会での議論内容が国民会議に反映されるかどうかは、国民会議事務局次第だという。国民会議の結果も踏まえ、秋以降さらに、本格的な議論に入る。(5/16MEDIFAXより)

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