【介護保険】特養入所の限定化、要介護1・2の特例案を提示/厚労省  PDF

【介護保険】特養入所の限定化、要介護1・2の特例案を提示/厚労省

 厚生労働省は10月30日の社会保障審議会・介護保険部会(部会長=山崎泰彦・神奈川県立保健福祉大名誉教授)に、特別養護老人ホームの入所要件を要介護3以上に限定する改革案について、要介護1・2でも「やむを得ない事情」がある場合は特例的に入所を認めることを提案した。

 「やむを得ない事情」については▽認知症高齢者で、常時の見守り・介護が必要▽知的障害・精神障害も伴い、地域での安定した生活が困難▽家族によるサポートが期待できない▽家族による虐待が深刻で、心身の安全確保が不可欠―などを具体的なケースとして例示した。これらの事情を抱え、特養以外での生活が困難な要介護1・2の利用者については、市町村の関与を前提に、各施設に設置されている入所検討委員会の判断に基づき特例的に入所を認めるとした。

 厚労省の提案に対し、藤原忠彦委員(全国町村会長)は「特例の提案は大変ありがたい」とする一方、市町村ごとに判断基準に差異が出ないよう指針を策定するなどの対応策を求めた。

 特例について慎重な意見も出た。布施光彦委員(健保連副会長)は、特養の入所申込者のうち在宅で要介護3以上の人が12.1万人いるとし、より重度の利用者の入所を優先すべきと主張。「重点化を進めるためには原則を重視し、例外は極力避けるべき」と訴えた。久保田政一委員(経団連専務理事)も「重度で入所を待っている人が多数いるという現状を見ると、軽度者の例外を認めることは問題ではないか」と指摘した。

 厚労省老健局の高橋謙司高齢者支援課長は、特例の対象となるケースについて「考え方を精査し、一定の指針を出し、現場で混乱なく運用できるように考えていきたい」と述べ、全国的にばらつきが出ないように十分配慮する考えを示した。(10/31MEDIFAXより)

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