【介護保険】在宅医療と介護の連携拠点事業、制度化で全国展開を/厚労省  PDF

【介護保険】在宅医療と介護の連携拠点事業、制度化で全国展開を/厚労省

 介護保険制度改革に向けて議論を開始した8月28日の社会保障審議会・介護保険部会で、厚生労働省は2011年度と12年度にモデル事業で実施した在宅医療連携拠点事業の取り組みを全市町村で実施するため、介護保険制度に取り入れることを提案した。在宅医療と介護の連携をさらに強力に推し進めることが狙い。

 在宅医療連携拠点事業は厚労省医政局の所管で実施した。11年度は10カ所、12年度は105カ所の地域で在宅医療と介護の連携拠点を設け、医療側から介護側に連携を働き掛ける取り組みを展開した。厚労省は介護保険制度上に位置付ける場合、市町村による地域支援事業の「包括的支援事業」として、15年度開始の第6期介護保険事業計画実施から実施することを見込む。地域の医師会を中心に▽地域の医療・福祉資源の把握や活用▽在宅医療・介護連携に関わる会議への参加や仲介▽多職種参加型の研修会の実施―などの取り組みが想定されている。

 在宅医療連携拠点事業について、日本医師会常任理事の高杉敬久委員は医療と介護の融合を目指すものとの理解を示し、「医療の役割が非常に大事になってくる。地域での在宅医療の展開は、われわれが責任を持って進めたいと思う」と主張した。

 市町村を代表する委員から連携拠点の早急な制度化を懸念する意見も出された。東京都奥多摩町長の河村文夫参考人は「モデル事業が行われたが、これをもって第6期介護保険事業計画から全市町村で実施することはどうなのか」と述べ、疑問を呈した。その上で「(18年度からの)第7期介護保険事業計画の実施時に必須として実施することを検討し、現段階では任意事業としてやっていただきたい」と述べた。

 全国市長会介護保険対策特別委員会委員長の大西秀人委員も、同事業は一部地域のモデル事業として実施されたことを踏まえ、「15年度は任意事業の形で走り出させ、18年度から本格事業化するようなことも考えるべき」と訴えた。

 厚労省老健局の朝川知昭振興課長は制度化を提案する背景として、診療報酬や介護報酬によるインセンティブだけでは連携推進が十分に進まないことを説明。「後方支援をしっかりやる必要があるとの認識から、地域支援事業として位置付けたい」と述べ、理解を求めた。(8/29MEDIFAXより)

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