【介護保険】在宅医療と介護の連携事業も市町村事業へ/介護保険改革の素案
厚生労働省が11月27日の社会保障審議会・介護保険部会に提示した「介護保険制度の見直しに関する意見」の素案では、地域包括ケアシステムの構築に向けて市町村が行う地域支援事業を充実させる方針が盛り込まれた。医政局が所管した在宅医療連携拠点事業の成果も踏まえ、在宅医療と介護の連携推進事業を介護保険法上の制度に位置付け、全ての市町村で取り組むようにする。
素案では介護に関わる施策が市町村主体で行われていることも踏まえ、地域包括ケアシステムを構築する手法の一つとして市町村が在宅医療・介護に取り組む必要があると記載した。具体的には▽地域の医療・福祉資源の把握や活用▽在宅医療・介護連携に関する会議への参加▽在宅医療・介護連携に関する研修会の実施―などの事業を市町村による地域支援事業に追加する。改正介護保険法が成立し、2015年度に施行した後、順次事業を拡大する。18年度には全ての市町村で実施するとした。ただ、小規模な市町村では事業の共同実施も可能としている。
会合では高杉敬久委員(日本医師会常任理事)が提出資料の中で、連携推進事業を介護保険制度に位置づけた場合、現行の医療保険による在宅医療の報酬は介護保険から支払われるようになるのかと質問。同省老健局老人保健課の迫井正深課長は「現行の医療保険と介護保険の給付の関係は基本的に変わらない」と答えた。
地域支援事業には、認知症施策も追加する。早期診断と早期対応が求められる中、認知症の人やその家族に初期段階から支援を行う「認知症初期集中支援チーム」の設置や、相談業務を担う「認知症地域支援推進員」の配置が重要と記載し、小規模市町村の共同実施も認めながら、18年度に全ての市町村が実施するとの方針を示した。
このほか、「地域ケア会議」の実施や、生活支援サービスに対する地域のニーズと地域資源をマッチングさせるコーディネーターの配置も地域支援事業に追加する。併せて、地域包括支援センターの機能強化も図る。(11/28MEDIFAXより)