【介護保険】介護給付の重点化、初めて本格議論へ/老健局・原局長
次期介護保険法改正に向けて、厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会の議論が1月から再開した。厚労省老健局の原勝則局長は2月12日、取材に応じ「全ての課題が重要で、政策の優先順位はない」と断った上で、「介護給付の重点化・効率化に関しては、介護保険制度が始まってから初めて本格的に議論する」と述べた。
原局長は、介護保険制度の創設以来続けてきた「サービスの拡充」は今後も取り組まなければいけないとする一方で、「保険料負担が重くなってきている中で、持続可能性ということをこれからは強く求めていかないといけない」とし、給付の重点化・効率化が一つの大きなテーマだと述べた。給付の重点化・効率化に関して、部会で議論するべき検討事項としては▽軽度者に対する給付の重点化▽介護施設の重点化(在宅への移行)▽自立支援型のケアマネジメントの実現に向けた制度的対応−が挙がっている。
社会保障制度改革国民会議と介護保険部会の関係については「国民会議で改革の大きな方向性を議論していただき、それを踏まえ具体的な細かい議論を部会でする」と説明した。介護保険制度のスケジュールに関しては「2013年末までに部会で議論を取りまとめ、14年の通常国会に法案を提出。15年4月に第6期の介護保険事業計画に合わせて施行することが基本」だと述べた。
ただ、国民会議の議論によってはスケジュールが変更される可能性もあると指摘。国民会議の有識者や関係議員には「介護は3年間を見通した上で保険料もセットし、事業を運営しているので、その間に大幅な保険料の増減があるような改正があれば市町村は困るという説明はしている」とし、「保険料の大きな増減につながるような介護保険法改正については、(国民会議の設置期限である)12年夏までに法案は出せないということでおおむね理解はいただいているのではないか」と述べた。
●キャリアパスとセットで処遇改善
介護保険部会での検討課題には「マンパワーの増強」も挙げられている。原局長は、民間と比較すると介護職員の給与は低いとした上で「これは給与そのものが低いというよりも、離職率が高いことも影響している」との認識を示した。原局長は、離職率が高く、勤続年数が短いと平均給与が低くなると説明。「キャリアパスみたいなものとセットで介護報酬で処遇改善をしていかないと、基本的な解決にはならないのではないか」と述べた。(2/13MEDIFAXより)