【京都協会】改定前の栄養加算、有床診の届け出率1.5%のみ/京都府保険医協
京都府保険医協会と長崎県保険医協会は10月4日、入院基本料などの算定要件となった管理栄養士の配置について「医療機関の病床数や診療科によっては配置が不要な場合もある」などの問題を指摘した。協会が実施したアンケート調査の結果について、保団連事務所で記者団に説明した。
京都府保険医協会が近畿厚生局への届け出状況を調べた結果によると、2012年度改定による包括化で廃止となった「栄養管理実施加算」の改定前3月1日現在の届け出率は、京都府内の50床未満の病院(15施設)で53.3%、有床診療所(67施設)では1.5%だった。要件化に当たって厚生労働省が中医協に示した全国での同加算の届け出率は97.9%となっており、同協会は厚労省データが小規模病院や有床診の実態と大きくかけ離れていたと指摘した。
200床未満の病院と有床診の250施設に対して行ったアンケート調査(回収率32%)では、「管理栄養士がいないと栄養管理ができない」と答えた施設が61%あった一方、「まったく不要」が12%、「いてもよいが医師でもできる」が26%あった。回答のあった有床診20施設を見ると、「まったく不要」が9施設、「いてもよいが医師でもできる」が10施設、「管理栄養士がいないとできない」と答えた施設はゼロだった。管理栄養士配置の義務化で入院医療を継続するかどうかについては、有床診20施設のうち8施設が「やめることを考慮する」と答えた。
説明した同協会事務局は「病床数や診療科によっては管理栄養士の配置が不要な場合もある」「人材の地域偏在があるのではないか」などの問題点を指摘した。包括化に伴う入院基本料の増点(11点)で管理栄養士を1人雇用するには90床程度の規模が必要との試算も示した。
12年度改定前の12年3月末時点で栄養管理実施加算を算定していなかった医療機関については、14年3月末までの2年間は要件を満たせなくても、満たしたものと見なす経過措置がある。長崎県保険医協会が実施した医療機関へのアンケート調査では、現時点で管理栄養士を雇用していない有床診の55.6%が14年3月末の期限までに管理栄養士を確保する見通しが立たないと回答した。回答の中には「管理栄養士を雇用するために雇用中の栄養士を解雇することになり気の毒だ」との意見もあったという。(10/5MEDIFAXより)