【予防接種】HPVなど3ワクチン定期接種へ/予防接種部会が第2次提言
厚生労働省の厚生科学審議会・感染症分科会予防接種部会(部会長=加藤達夫・国立成育医療研究センター名誉総長)は5月23日、HPVやHibなど7ワクチンについて「広く接種を促進していくことが望ましい」とする第2次提言をまとめた。同部会は予防接種制度の見直しに向けて、2010年の第1次提言以降、約2年半にわたって議論を重ねてきた。厚労省は7ワクチンのうち、ワクチン接種緊急促進事業で公費助成している▽HPV▽Hib▽小児用肺炎球菌―の3ワクチンの定期接種化を優先したい考え。厚労省は予防接種法改正案の国会提出時期について「今国会を視野に目指す」としている。
今後は定期接種化に必要な財源の確保が課題になる。厚労省は予防接種の実施主体である市長会や町村会との調整を急ぐ構え。厚労省によると、HPVやHibなど3ワクチンの定期接種化には1200億円の予算が必要だという。市町村は今のところ、財源確保について「まだ協議が必要だ」と慎重な姿勢を示している。
現行の3ワクチン接種緊急促進事業では、接種費用の9割に公費を充てており、公費分を国と市町村の折半で負担している。3ワクチンの定期接種化に必要な費用を約1200億円とすると、必要な公費は1080億円。国と市町村の負担額はその半分の540億円になる。
市町村の財源案の一つに、年少扶養控除の廃止などに伴う地方増収分が浮上している。計算上、地方増収分で3ワクチンの定期接種に必要な額を工面できるが、増収分の使い道は市町村に委ねられているため、今後の調整で市町村の理解が得られるかどうかが鍵になる。
●接種年齢を超えた人にも予防接種を
また、厚労省は予防接種部会で、免疫機能の異常など、長期にわたる重篤な疾患で定期接種を受けられなかった人への対応案も示した。
予防接種法では「明らかな発熱がある人」「重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな人」への定期接種は適当ではないと定めている。現行制度では対象年齢を超えてしまうと、定期接種として予防接種を受けられない。厚労省はそうした人への対応策として、接種年齢を超えても定期接種を受けられるようにする特例措置を設ける方針。政令改正で対応することになりそうだ。(5/24MEDIFAXより)