【予算案】医療費国庫負担、概算要求から2000億円削減/政府予算案  PDF

【予算案】医療費国庫負担、概算要求から2000億円削減/政府予算案

 政府は12月24日、年明けの通常国会に提出する2014年度政府予算案を閣議決定した。医療費国庫負担は8月末の概算要求時に比べて約2000億円削減された。医療費国庫負担は10兆8373億円で、そのうち医療保険給付費は9兆1576億円。医療費2000億円削減の主な要因は以下の通り。▽薬価調査結果を踏まえた市場実勢価格の反映(いわゆる薬価財源の切り離し)=1336億円▽7対1入院基本料算定病床の要件厳格化=150億円▽うがい薬だけを単剤処方する際の保険適用除外など=77億円▽足元の医療費国庫負担の伸びの鈍化の反映=473億円

●7対1は9万床削減
 7対1入院基本料算定病床は、要件の厳格化により9万床相当分を受け皿病床に移行させる。ただし地域医療への影響を考慮して経過措置期間を設ける。経過措置期間について財務省は「(厚生労働省所管の)中医協の審議にもよるが、1年間という形で議論が進んでいたように思う」と説明した。

 14年度診療報酬改定では、診療報酬本体を0.1%引き上げる。ただ、消費税率引き上げの補填分を除いたネット改定率は、実質的には1.26%のマイナス改定となる。補填分1.36%の内訳は、診療報酬本体分が0.63%で、薬価分が0.73%。

 一方、地域医療向けの補助金(基金)は国・地方負担を合わせて904億円を計上する。消費税財源では544億円分しか公費を工面できなかったため、残りの360億円は消費税収以外の一般財源から捻出する。厚労省が「一体改革のために必要」と予算要求したことに対して、財務省は補助金の積み増しで応えた格好だ。

 予算編成の基本方針に「新たな国民負担につながらないよう努める」と記載したことを踏まえ、診療報酬本体の引き上げ幅は小幅にとどめた。診療報酬の引き上げは、税、保険料、患者自己負担という3つの国民負担も増加するが、補助金による医療提供体制の強化であれば、保険料や患者自己負担は発生しない。このため、消費増税に伴う医療の充実は診療報酬ではなく補助金中心で対応した。

●社会保障費30兆5175億円、4.8%増
 社会保障費は30兆5175億円( 1 兆3951億円増、4.8%増)。社会保障・税一体改革を実現するための初年度の予算となる。概算要求に盛り込まれた1兆円の社会保障費自然増は、6500億円に削減された。70−74歳高齢者の医療費1割負担に必要な財源は、従来は補正予算で計上していたが、14年度から当初予算に移す。

 14年度政府予算案の一般会計歳出総額は95兆8823億円。そのうち基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の対象経費は72兆6121億円。PBの赤字は前年度予算に比べて5.2兆円改善する見込みで、単年度赤字は18兆円に減少する。14年度の名目GDP成長率は3.3%となる見通し。(12/25MEDIFAXより)

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