【予算】厚労省、自然増要求額はそのまま/13年度予算、自民・厚労部会が了承
厚生労働省は民主党政権下で財務省に提出していた2013年度予算概算要求のうち、「特別重点要求・重点要求」として措置していた枠組みを見直した。政府の方針に沿った取り組みで、変更案は1月9日の自民党厚生労働部会で了承された。新政権の方針による変更は主に「特別重点要求・重点要求」の扱いにとどまり、前政権下で全額確保が決まっていた社会保障費の自然増8400億円分は変更せずに要求する。
概算要求の見直しは12年12月27日の安倍晋三首相の指示を踏まえて実施した。民主党政権時にまとめた要求内容から「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」の3分野を重視した内容に入れ替えた。
これにより厚労省の新たな13年度予算概算要求は29兆9287億円となり、民主党政権だった12年9月に提出した概算要求額30兆266億円からは減るものの、12年度補正予算案と13年度予算案を一体と見なす「15カ月予算」として見た場合、総額は30兆3119億円となり増額された格好となる。ただ、額は70−74歳の医療費自己負担の対応で変動する。
●がん対策に117億円、認知症施策で34億円
13年度予算要求は12年度補正予算案で示した項目の拡充が目立つが、がん対策の充実・強化に117億円、認知症施策の推進に34億円、小児らの在宅医療提供体制整備に1.7億円などを盛り込んだ。
一方、「特別重点要求」として計上していた医療イノベーションの推進関連は411億円から231億円に減額した。厚労省は理由の一つとして、これまで進めてきた財務省との折衝によるものと説明している。
●福岡部会長、自然増の全額容認に理解
13年度概算要求の入れ替えが一部にとどまったため、社会保障費の自然増8400億円は全額要求になった。自民党厚生労働部会の福岡資麿部会長は「制度論の見直しは簡単に進められない」と全額容認に理解を見せた。
今後の対応をめぐっては「社会保障制度改革国民会議の議論が進み、新たな社会保障の負担の在り方がまとまってくる。国民会議の議論を受けて予算措置を講じるのが筋道だ」と述べ、14年度予算以降の自然増を容認するかどうかは国民会議での議論次第との認識を示した。(1/10MEDIFAXより)