【主張】施設なき包括ケアなどありえない 職員確保に処遇改善が急務
消費税率8%引き上げ最終判断時期が約4カ月後に迫ってきた。還元セールの禁止云々等、マスコミも騒がしい。
一方、増税法と共に成立した社会保障制度改革推進法(以下、推進法)については、協会が地区懇談会においても問題の多さを指摘してきているが、一般受けしない話題のようである。
推進法には、医療保険、介護保険をはじめ全ての社会保障制度において「給付の適正化」が謳われている。目的は適正化に名を借りた経費削減そのものである。
この路線に従った「地域包括ケアシステム」推進も現実のものとなりつつある。2025年を目標とする医療・介護サービス保障のシステムイラストにおいて、注目すべきものの一つに施設の存在が消えていることが挙げられる。社会保障・税一体改革の目する「医療から介護へ」「施設から在宅へ」を具現化するものであろう。
現実はどうか。家庭介護力は弱体化の一途で、介護施設入所のニーズは右肩上がりの状況にあり、多額の補助金を投じての施設整備?は今も進んでいる。しかし、現代の3K職場を代表するといわれている特別養護老人ホーム等これらの施設は、人材難に喘ぎ、低い処遇に耐えて頑張るスタッフは疲弊する一方である。求職者は多いのに、介護職場と聞くだけでそっぽを向かれてしまう。
府や市町村は、介護人材の確保目的と称して、各種の補助金(住宅費補助etc)を打ち出しているが、さまざまな制限要項が盛られていて実効性に乏しい。
人材が不足して維持できないのなら、外部サービスを利用する「ケア付き高齢者専用住宅」に模様替えしなさいといわんばかりである。これがイラストの示す本音なのかもしれない。
府は国と一線を画した「本人、家族が望む場所での看取り」を目指すとのこと。そのためには、介護保険報酬の引き上げによる職員処遇改善がまず必要と考える。