【主張】損税の根本的矛盾解決のためゼロ税率の獲得を  PDF

【主張】損税の根本的矛盾解決のためゼロ税率の獲得を

 2012年10月、6年ぶりに損税調査を行った。ご協力いただいた先生方に御礼申し上げる。結果についてここでは概要のみにとどめ、詳しくは後日報告する。回答は195通(診療所167通、病院28通)いただき、回収率は9・6%だった。

 診療所の損税は年間約61万円(前回79万円)、病院は年間約580万円(前回740万円)と両者微減。負担率(損税額/医業収入)は診療所は減少、病院は微増だった。なお、損税の計算においては厚労省のいう診療報酬への1・53%上乗せがあるものとして計算した。診療報酬に付加されている1・53%全てが消え去っているという意見もあるが、薬価には消費税分は付加されているため、医療費に対して1%は消費税分であると考えている。

 統計の結果を細かく見ていくと、損税額は医療機関によるばらつきが大きく、現行のように消費税分を診療報酬に上乗せするという方式で損税を解消することは不可能である。また、患者負担にも1・53%が上乗せされていることになる。今後消費税率が8%、10%になると損税はますます拡大し、患者負担に付加されている消費税も増えることになる。これらの矛盾を根本的に解決するため、我々はかねてよりゼロ税率を要求している。

 ゼロ税率を勝ち取るためには、我々にも覚悟が必要である。まず、薬価は消費税分が引き下げになる。また、0%とはいえ課税事業者になるため、予防接種などの保険外収入が1000万円以下で消費税の支払いが免除されている医療機関も消費税を支払う必要がある。また事業税の課税のきっかけにされかねない。事務処理負担もはるかに増大する。今後、これらの不都合をどうするのか検討していく必要があるだろう。

 また一方で、兵庫県民間病院協会らの消費税裁判において「社会保険診療等の消費税非課税は合理性を有する」との判断が示され、道のりは険しい。

 非課税事業であっても仕入れ税額控除ができ、患者にも負担を求めない措置としての社会政策的なゼロ税率の実現が望まれる。

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