【主張】医事紛争減少も医師等の苦労続く患者像の捉え方の一考
協会は、3月9日に医療安全シンポジウム「患者さん対応に困ったケース─守秘義務等について」を開催した。その参加者に2月に代議員を対象としたものと同様の「理解し難いクレームを言う患者さんに関するアンケート」を実施した。
そこで最も興味深かったのは、医事紛争が減少し始めた10年前と比較して、現在の患者への対応の困難さに対する回答だった。
医療崩壊後に医療再生が唱えられ、医事紛争も減少してきた最近では、患者対応も少しは楽になってきたのではないかとの、淡い期待は見事に打ち砕かれている。
6割近くの回答は「やや困難になってきた」「わからない・一概に言えない」だった。協会としても、医事紛争に対する姿勢は「量」のみならず「質」を一層考慮しなければならないと、今更ながらに考えさせられた。
協会はこれらの状況を踏まえた上で「モンスター・ペイシェント」といった呼称は極力避けるようにしている。それは我々の仕事の目的が、医師・医療機関と患者の架け橋になることであり、決して「医師VS患者」を助長することやモンスターをやっつけろ、といった活動ではないからである。
もちろん、たった今患者対応に苦しんでいる会員に対しては、最善の対応を約束させていただく。しかし、我々の経験からいうと、モンスター・ペイシェントは、最初からモンスターなわけではなく、医師から見れば、分かり難い隠れた背景があることも多い。
そのあたりを会員に対して助言できていけば、医事紛争が減少するばかりでなく、本当の意味で、医療現場に平和が戻ってくるのではないだろうか。