【中医協】8%時の補填「基本診療料だけでは不十分」 /中医協・消費税分科会
厚生労働省は8月2日、中医協「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(分科会長=田中滋・慶応大大学院教授)に、医療機関の消費税負担に対する消費税率8%時点での診療報酬による補填方法について▽診療所は初・再診料に上乗せ▽病院は?診療所と同一点数となるよう初・再診料を引き上げ?残りの財源を入院料に上乗せ─とする案を提示した。ただ、診療側・支払い側の双方の委員から、上乗せは初・再診料や入院料といった基本診療料だけでなく、個別の診療報酬項目も含めるべきとの意見が相次いだ。
前回の会合で厚労省は▽案1=基本診療料に上乗せ▽案2=個別項目に上乗せ▽案3=1点単価に上乗せ─の3案を提示していたが、「案1」に絞って提案した。
厚労省の提案に対し支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「前回の提案に対し、私は案1と案2を組み合わせるべきではないかと言ったが、案1に限定した提案はどういう経緯か」と厚労省案を疑問視。小林剛委員(全国健康保険協会理事長)も「案1と案2の組み合わせを求めたと認識している」と述べた。事務局の厚労省保険局医療課は「案1を基本に示したもので、個別項目への上乗せを排除する考えはない」と回答。白川委員は「(前回までの議論で)高額投資は別扱いしないことになったが、病院での高額な設備投資については若干の配慮は必要だろう。高額な検査機器やダ・ヴィンチのような医療機器などは分かりやすく、検査料に上乗せがあってもよいのではないか」と述べた。
税率10%時点での課税化を求め、診療報酬による補填は8%時点のみとする診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、消費税率引き上げ時期は流動的で8%引き上げの1年半後に10%となるかどうかも分からないと指摘。「8%が少しでも長い期間になるようであれば、白川委員が示した配慮がないと病院が苦しむこともあり得る」とし、「基本診療料と個別項目の組み合わせがあってもよいのではないか」と述べた。
西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「病院は初・再診料に上乗せし、残りの財源を入院料に乗せることで病院全体に対応するということだが、同じ7対1病院でも個々の病院で負担は異なる」と指摘。小森直之代理委員(日本医療法人協会副会長)も「病院は課税されている金額が分かっており、係数として計算した上で上乗せを求める方法を、われわれは案4として検討している。同じ7対1病院でも1日単価が大きく異なる。一律の同じ点数配分となると消費税の負担が変わってくる。初・再診料も日帰り手術が増えており、1日単価が大きく異なる」と述べ、基本診療料の上乗せは課題が多いと指摘した。(8/5MEDIFAXより)