【中医協】7対1・10対1の特定除外、機械的廃止は困難/中医協で診療側
中医協の診療側委員は11月1日の中医協総会で、入院基本料7対1・10対1の特定除外制度について、機械的に全て廃止することは困難とあらためて主張した。中医協「入院医療等調査・評価分科会」が取りまとめた報告書は、13対1や15対1と同様に廃止し、90日を超えて入院する患者について▽平均在院日数の計算に含める▽療養病棟と同様の包括評価とする─から選択する仕組みにすべきとの方向性を示している。
中川俊男委員(日本医師会副会長)は日医と四病院団体協議会が実施した「特定除外に該当する入院患者実態調査」の結果から、7対1や10対1に入院する特定除外患者は、13対1や15対1の特定除外患者とは病態などが異なると説明。理由として▽7対1の特定除外患者は悪性新生物治療中であり、7割以上が当該医療機関でなければ治療が困難で退院できない状況▽10対1では、主傷病が腎不全で透析を要しながら重度障害・意識障害や難病の患者がいる▽在宅医療を担う医療機関が不十分など退院後の受け皿が不十分と回答した病院で特定除外患者が多い―を挙げた。鈴木邦彦委員(日医常任理事)は「全て廃止は無理」とした上で、見直しを検討する場合でも細かな検証が必要との考えを示した。
万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は、機械的な廃止によって患者が被害を被る可能性があるとの考えを示した。前回改定で13対1と15対1の特定除外を廃止した影響を調べた2013年度の調査結果では、筋ジストロフィー患者や難病患者等入院診療加算を算定する患者も減っていると指摘し、「何らかの操作があってこうなっているようであれば、ひずみが出る」とし、「ひずみが出て患者に迷惑を掛けてはならない」と強調した。
●廃止で現場が混乱するとのデータない/支払い側・矢内委員
対する支払い側の矢内邦夫委員(全国健康保険協会東京支部長)は「廃止によって現場が混乱するというデータはない」と主張した。日医・四病協調査と厚労省の入院分科会調査の両方で、7対1と10対1での特定除外患者の割合が10%以下だったと指摘した上で、特定除外患者が10%と仮定して入院分科会が示した「その他(特定除外以外)の患者の平均在院日数が15日以内であれば、全体の平均在院日数は(7対1の要件である)18日以下となる」とのシミュレーションを支持。「7対1が担う機能は急性期医療であり、特定除外という考え方自体がそぐわない」とも述べた。(11/5MEDIFAXより)