【中医協】7対1の厳格化、総会で火ぶた/中医協、診 療側から異論噴出
次期診療報酬改定の中心的な課題となる7対1入院基本料の要件厳格化を含んだ入院医療の議論が8月21日、中医協総会(会長=森田朗・学習院大教授)で始まった。「入院医療等の調査・評価分科会」の中間まとめを同分科会の武藤正樹分科会長が報告。診療側委員は「7対1の削減ありきだ」「7対1算定施設の定義が分かりにくい」「特定除外を見直すにはデータが足りない」など、中間まとめの内容に次々と疑義をぶつけた。今後も事務局の厚生労働省保険局医療課が指摘を踏まえた整理をしつつ議論を続ける。
中間まとめには7対1、10対1の特定除外項目見直しが記載され、7対1の機能を「複雑な病態を持つ急性期の患者に高度な医療を提供すること」と定義している。
「7対1の削減ありきだ」─。診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が口火を切った。入院分科会では議論が尽くされていないとし、総会でさらに検討する必要性を主張。特定除外の見直しについては「日医と四病協で集計しているデータを近々発表できる。厚労省のデータより例数が多い。13対1、15対1とは違う部分が出る可能性がある」と述べ、7対1、10対1の特定除外廃止に異を唱えた。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も「(厚労省のデータは)特定除外の病態を把握するには数が足りない」と、データ不足を指摘した。
7対1算定機関の機能についても診療側が疑問視した。嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議相談役)は「複雑な病態とはどういうイメージか」と質問。高齢者で複数の疾患を抱えている人と、高度で先進的な医療が必要な人という2つをイメージさせるとし、現場に合わせた定義を求めた。嘉山委員は「重症度・看護必要度」の追加項目で記載された「10分間以上の指導」についても「時間を設定すると現場が混乱する」と批判。武藤分科会長が「目安の数字」と説明すると、「それなら『十分な』でよい」と切り返した。
●医療課「方向性は変わらず」
疑義を唱える診療側に対し、支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「分科会の出した方向性は論理的には正しい」と発言。診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「基本的な方向性に反対ではなく、データに信頼性があるかどうかをまず議論すべきということだ」と述べた。
保険局医療課は会合終了後「大きな方向性が変わる議論には恐らくならない。データの解釈や、運用段階で現場に混乱がない形での整理をする議論になるのではないか」と今後を見通した。(8/22MEDIFAXより)