【中医協】財務省に「中医協の重さ」示す/厚労大臣に具申へ、改定率は両論  PDF

【中医協】財務省に「中医協の重さ」示す/厚労大臣に具申へ、改定率は両論

 中医協総会は次期診療報酬改定の改定率について、プラス、マイナスの両論併記で厚生労働大臣に意見具申する。改定率のほか、中医協の位置付けや存在意義についても盛り込む。支払い側、診療側が改定に対する意見書を提出した11月27日の総会では、改定内容に踏み込もうとする財務省の姿勢を診療側委員が痛烈に批判。大臣への意見書の中で、中医協の役割を明確に示す必要性は共有した。

●「ネットでマイナスを」/支払い側・白川委員
 27日の総会では、支払い側、診療側の双方が次期改定への考え方を提出した。支払い側は、薬価引き下げ財源を本体に充当する方法を中止し、ネットマイナス改定にすべきとした。白川修二委員(健保連専務理事)は意見書を読み上げた後、「診療報酬と薬価の改定は、必要な予算の積み上げとか、そのために財源を確保するという考え方で行うべきではない。改定の内容についても各方面から意見が出ているが、膨大な時間とデータで審議している中医協の役割は重い」と述べた。ネットマイナスの意味については「増税対応分も込みでネットでマイナス」と説明した。

●財務省に「各論踏み込む機能ない」/診療側・中川委員
 診療側は意見書で、消費税率引き上げ対応分を除いたネットプラス改定が必須で、従来通り、薬価引き下げ分は診療報酬全体の改定財源として活用することを要求。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が意見書を読み上げた後、中川俊男委員(日医副会長)が「最近の財務省の発言についてあえて意見を述べる」と論を展開した。

 中川委員はまず、薬価財源を本体引き上げに使わないという財務省の主張について「自然増削減を続けた2000年代の悪夢を彷彿させる。00年代の大幅なマイナス改定により地域医療が崩壊したのは医療界の共通認識だ」と批判。さらに、消費増税の発端は社会保障給付費の財源不足を賄うことだったとし「医療提供体制の改革が整わなければ消費増税分を使わせないという主張は、国民との約束違反になる」と述べた。

 最後に「改定の各論にまで踏み込む動きが目立つ」と指摘。「例えば、何百という項目一つ一つについて良いか悪いか主計局に伺いを立てろという。財務省のどこに医療政策の各論に踏み込む機能があるのか。中医協の権威をおとしめるものだ」と批判した。

●公益委員が素案作成へ
 中川委員の発言に対し、支払い側、診療側の双方が賛同した。白川委員は「改定率の意見の一致は困難で、両論併記でやむを得ない。ただ、中医協の位置付けや役割などで一致できる部分もある」と指摘。安達秀樹委員(日医・社会保険診療報酬検討委員会委員長)や鈴木委員も「改定率は両論併記、中医協の存在意義を主張する」という大臣への意見具申の形に賛成した。今後は、支払い側、診療側の見解を踏まえ、公益委員が意見書の素案を作って総会に示す。(11/28MEDIFAXより)

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