【中医協】診療所の役割、「共通認識」は可能か/中医協での外来議論
次期診療報酬改定に向けて外来医療についての議論が中医協で開始されたことを踏まえ、中医協支払い側委員の白川修二氏(健保連専務理事)と、診療側委員の安達秀樹氏(京都府医師会副会長)が取材に応じ、診療所の機能を中医協でもきちんと議論していくことが必要と指摘した。
●ゲートキーパーの仕組み確立を/白川氏
白川氏は「複数の疾病を持つ高齢者が増えており、今後も増えていくだろう。そうした既存疾病を持つ患者が新たな疾病に罹患した場合、病院に駆け込むのではなく、かかりつけ医に相談するという仕組みをきちんとつくってもらいたい」と述べ、高齢者医療費の適正化を進めていく観点からも診療所が「ゲートキーパー」となる仕組みを確立させていきたいとの考えを示した。「診療所が果たしている機能をきちんと評価していきたい」とも述べ、「(外来医療で)どういう機能を持ったら、どう評価するのか、中医協でもう一度きちんと議論していきたい」とした。
病院の外来機能については、大学病院の外来患者数の推移を踏まえながら引き続き機能分化を進めていくことが課題とした。
● 受療行動の変容含め「外来のプランニングを」/安達氏
一方、安達氏は「日本の外来医療の在り方を検討すべきだ。どうすれば患者の受療行動が変わるのか、病院外来の整理などを含め外来医療に関するプランニングができてから、点数評価を考えていくべきだ」との基本的な考えを示した。その上で「診療所が果たすべき役割について共通認識を持てるのか。診療所に総合診療医の機能を求める意見もあるが、そもそも日本の診療所の医師は専門性が高く、専門医のまま開業し、その後、日本医師会の生涯教育などで総合診療的な部分を履修しているのが現状だ。診療所の医師の専門性が、現在の病院勤務医の負担軽減の機能を果たしている」と指摘した。
さらに安達氏は、「この時期に中医協総会に外来医療について厚生労働省が提案してくることは、かつてなかった。2010年度と12年度は、急性期病院や中小病院を含めた病院医療を重点的に評価する改定が続いた。次期改定では、危険水域の診療所を手当てしていく順番だが、結果的には改定率に影響されるだろう」と述べ、外来医療に切り込む改定論議を進める上で入院医療の整理も必要とした。
外来の機能分化の議論を進めていくに当たっては「診療所に関するエビデンスデータの集積が十分とはいえないのではないか」と懸念を示しながらも、今後の中医協で厚労省が提示するデータ・資料に期待しているとした。(2/1MEDIFAXより)