【中医協】訪看STの焦点に「大規模化」/中医協総会で厚労省  PDF

【中医協】訪看STの焦点に「大規模化」/中医協総会で厚労省

 中医協総会(会長=森田朗・学習院大教授)は5月29日、次期改定に向け在宅医療を議論した。厚生労働省は訪問看護の推進に向け、訪問看護ステーションの規模や機能の評価を論点に提示。大規模化の方向性を示す厚労省に対し、規模だけの評価に反対する声や、小規模事業者の連携を重視すべきなどの意見が診療側委員を中心に出た。厚労省保険局の宇都宮啓医療課長は「次回は、小規模では管理業務に時間を取られてしまうというデータも示す。その上で議論をいただきたい」と、大規模事業所を増やす方針に強い意欲を示した。

 厚労省は会合に、2012年度改定の結果検証調査の結果概要(速報)を示した。訪問看護ステーションの規模については、職員数5人以上の事業所の割合が11年の31.7%から36.9%に増加。事業所の規模が小さいほど看護職員1人当たりの看取り数や緊急訪問回数が少ない傾向があり、規模が大きいほど要介護度の高い利用者が多かった。小規模ほど複数のステーションからの訪問看護を利用している患者が多かった。

 厚労省は調査結果から、訪問看護の課題に▽需要の増加と利用者像の多様化▽患者の求めの上位は「24時間対応」「病状が重くなった際の対応」「頻回訪問の対応」▽看護職員5人以上のステーションやその従事者は増加傾向で、規模の大きい事業所ほど頻回訪問が必要な重度者を多く抱えている―を挙げた。規模が大きい方が効率的に充実した訪問看護ができているとし、大規模事業所を増やす方向性を示した。

●大規模化は「サテライト含む」
 これに対して嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議相談役)は「現状の小規模の機能を評価してネットワークをつくることに診療報酬を充てる方が訪問看護は充実するのではないか」と問題提起した。宇都宮医療課長はネットワーク化に理解を示した上で「大規模化とは単に規模を大きくすることではない。コアの事業所を持ち、他にサテライトを持つことを含んでの大規模化」と説明。小規模事業所の問題点として「管理業務に時間を取られ、訪問看護の時間が少ない」ことも挙げた。だが万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)が「連携で規模の小ささを補うことも論点にすべき。管理業務が煩雑で小規模ではこなしきれないのなら、IT使用に手当てをする方策も考えられる」と発言した。次回の訪問看護の議論で厚労省は意見も含んだ論点を示す見込み。

 「大規模」の具体的なイメージも議論になった。厚労省は現段階で何人以上という想定はないと回答。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「適正規模について議論すべき。24時間体制を取るための適正規模として5人は必要ではないか。ただ、数十人のステーションは大きすぎる。規模が大きいほど良いわけではない」と指摘した。(5/30MEDIFAXより)

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