【中医協】薬剤7種ルール「撤廃」「継続」で各側衝突/中医協総会  PDF

【中医協】薬剤7種ルール「撤廃」「継続」で各側衝突/中医協総会

 薬剤7種ルールは撤廃か継続か―。11月29日の中医協総会で、1処方につき7種類以上の内服薬を投薬すると減算される「7種ルール」をめぐり、診療側委員と支払い側委員が衝突した。診療側は安達秀樹委員(日本医師会・社会保険診療報酬検討委員会委員長)を中心に撤廃を主張。支払い側は、多剤併用による相互作用や副作用を懸念して7種規制の妥当性を主張。決着しなかった。

 7種ルールは、多剤投与を防ぐ狙いから1処方に7種類以上の内服薬を投薬した場合に、処方料、処方箋料、薬剤料を低くするルール。厚生労働省は外来の機能分化推進に向けた主治医機能の在り方に関連し、多剤投与の評価を論点に挙げた。7種類以上の内服薬を投薬・処方せざるを得ない患者が一定程度いることや、処方箋料などの減額を回避する対応をしたことがある医療機関が38.5%あることも提示。国立長寿医療研究センターの入院データベース(2009年1−12月)で65歳以上の患者を解析した結果、6剤以上の多剤投与で有害作用の発現率が高まり、抑うつとも関連するなどのデータも示した。

 安達委員は6剤以上投与による有害作用のデータについて「その後、どの学会でも問題になっていない」とした上で「より理不尽なのは、かかりつけ医が総合的に患者を診るという話の中で、1医療機関で7剤を出すと減算される。循環器は循環器内科の診療所、糖尿病は糖尿病内科の診療所に行き、4剤ずつ処方されたら減算されない。患者が8剤を飲んでいることに変わりはない」と述べ、副作用防止の点でも7種規制は妥当性がないと主張した。

●現状では「むしろ加算に」/安達委員
 安達委員はさらに、高齢化で複数の疾病治療や多くの薬剤処方が必要な現状があるとし「薬剤選択には頭を使う。1剤2剤の比ではない。多剤投与の加算があってしかるべきで、なぜ減算という理不尽な算定を受けるのか。今回の改定で撤廃すべき」と強調した。

 こうした主張に支払い側委員は疑義を投げ掛けた。白川修二委員(健保連専務理事)は「主治医機能の強化は次期改定のテーマ。複数の疾患を持つ患者を主治医が管理する際に7剤規制は矛盾するという主張は分かる」と理解を示しつつも、「薬剤も含めて主治医は管理する。それは主治医機能を評価するときに別の形で評価することもあるのではないか」と指摘。ほかの支払い側委員からも「多剤投与の影響はエビデンスが少ない」「漫然と薬剤を投与している医師がいる」「副作用を考えれば多剤投与の危険性は否定できない」などの意見が続出した。

 診療側委員は「7剤という数字には意味がないし、多く処方することの弊害よりも、必要なのに処方しないことが問題」「漫然と薬を出すことはない。今や薬はコストで、少ない方がよい」「苦労して処方している」と反論。意見集約には至らず、森田会長が「なぜ多剤投与を規制しないといけないのか、なぜ7剤なのか、規制をしなければならないとしても他に方法はないのか、などについて事務局で検討してほしい」と引き取った。(12/2MEDIFAXより)

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