【中医協】紹介ビジネス対応「まずは療担で」/中医協、報酬対応には慎重論も
中医協総会は10月30日、前回に引き続き在宅医療を議論し、いわゆる患者紹介ビジネスへの対応策を検討した。厚生労働省が示した診療報酬上の措置と療養担当規則の改正という2本立てによる対応は、診療側、支払い側双方からおおむね支持を受けた。ただ、診療報酬上の措置については慎重論も出た。
在宅医療を行う保険医療機関に民間事業者などが集中的に患者を紹介し手数料を得る「患者紹介ビジネス」への対応策として、厚労省は前回会合に診療報酬と療養担当規則の改正などによる対応を示していた。診療報酬では▽在宅時医学総合管理料または特定施設入居時等医学総合管理料を、同一建物に応じた評価体系にする▽在宅患者訪問診療料の要件を変え、患者への説明と同意の確認をして診療時間や訪問先名などを診療録に記載する―など。療担規則の改正では、保険医療機関が紹介者に紹介料を支払うことを禁止事項に位置付けるという内容。
議論では診療側委員の多くが、不適切事例をなくすために診療報酬や療担規則の改正で対応するのはやむを得ないという認識を示した。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は在宅時医学総合管理料などを同一建物に応じた評価体系にすることに賛成。ただ、在宅患者訪問診療料の要件について「診療時間を記載するのはやむを得ないが、時間の記載を要件にするのはやり過ぎだ」と指摘。時間の記載について万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)も同じ認識を示し「在宅患者訪問診療料に、歯科の訪問診療料と同じように20分以上などの時間要件を入れるもくろみなら反対だ」と述べた。
堀憲郎委員(日本歯科医師会常務理事)は「診療報酬での対応は適切な訪問診療にも一定のブレーキを掛ける。慎重に検討してほしい。療担規則での規制なら適切な訪問診療に影響はない」と指摘。万代委員も、診療報酬での規制に理解を示しつつ「まずは療担規則が第一」とした。
支払い側の矢内邦夫委員(全国健康保険協会東京支部長)も、保険医療機関が患者の紹介を受け紹介料を払うことが違法ではない現状を問題視し「速やかに療担規則の規定を改正してほしい」と要求。療担規則の改正ではなくガイドラインで対応する可能性もあることから「在宅医療の指針となるGLを一緒に作り、それに沿って安心して医療ができるようにしたい」(鈴木委員)と望む声もあった。
三浦洋嗣委員(日本薬剤師会副会長)は「福祉系施設の入所患者の処方箋を一括して依頼することの見返りに利益供与を求められる保険薬局があるようだ」と、薬局でも似た事例があることを紹介し、薬局が対価を支払い患者紹介を受けることも明確に禁じてほしいと求めた。(10/31MEDIFAXより)