【中医協】精神科医療の充実策で在院期間の短縮進む/中医協総会で速報
厚生労働省は11月22日の中医協総会(会長=森田朗・学習院大教授)に、精神入院医療等の2013年度検証調査に関する速報結果を報告した。精神病床関係の在院期間の短縮傾向が進み、前回改定の精神科医療の充実策に関する届け出が一定程度進んでいる実態も明らかになった。
今回の施設調査では、精神科単科病院が回答の約8割を占める中で、精神病床利用率が92%、平均在院日数は11年6月と13年6月を比較すると471日から461日に約10日間短縮していた。精神療養病棟入院料、認知症治療病棟入院料を算定する精神病床でも平均在院日数の顕著な短縮傾向が見られた。12年度改定で、認知症治療病棟入院料の在院期間の要件が30日に短縮されたことなどが、平均在院日数の短縮を誘因したのではないかと見られるとした。
●救急搬送患者地域連携受入加算の届け出は約5割
12年度診療報酬改定では精神科医療機関間の連携を評価した。精神科救急医療機関に緊急入院した後、状態の落ち着いた患者について、あらかじめ連携している精神科医療機関に60日以内に紹介した場合に、紹介した医療機関は精神科救急搬送患者地域連携紹介加算(1000点)を、受け入れた医療機関は精神科救急搬送患者地域連携受入加算(2000点)を算定できる。調査では、紹介加算の届け出が12.9%だが、受入加算は49.3%と高い比率を占めていた。同様に前回改定で新設された精神療養病棟退院調整加算(500点)については、28.6%の届け出率だった。認知症については、夜間に看護補助者を配置し、夜勤を行う看護要員が3人以上の場合を評価した認知症夜間対応加算は19.4%の届け出率だった。
一方、病棟調査では、精神療養病棟の主たる疾患として統合失調症などが多くを占めており、在院期間は「1年超5年以内」「5年超」の比率が高かった。精神療養病棟の退院後の行き先は自宅が最も多いが、自院の他の病棟や他医療機関への転棟・転院の割合も高かった。このほか、精神療養病棟での身体合併症管理加算の増点に伴い、身体合併症の重症な患者数が「増えた」とする比率が55.9%に増加していた。
患者調査では、医療サービス、福祉サービスを求める比率が高い一方で、将来の退院を想定できない患者も39.5%に上った。
●精神科薬物療法の正常化を
診療側の長瀬輝諠委員(日本精神科病院協会副会長)は、今回の調査結果や医療経済実態調査結果から精神科の評価を充実させることが喫緊の課題と指摘した。中でも身体合併症の患者の受け皿が必要とし、精神療養病棟に準じるような受け皿を検討すべきとした。
支払い側の智英太郎代理(健保連理事)は、薬物療法で使用されている抗精神病薬が5種類以上のケースが6.1%を占めている点などを挙げ「適正化よりも正常化を目指していただきたい」と述べた。(11/25MEDIFAXより)