【中医協】特定除外廃止でシミュレーション/厚労省「追い出しにならない」  PDF

【中医協】特定除外廃止でシミュレーション/厚労省「追い出しにならない」

 厚生労働省は、7対1・10対1入院基本料の算定病棟で特定除外制度(在院期間が90日を超えても減額されず、平均在院日数の対象外となる仕組み)を廃止した場合、90日超患者を一定割合抱えても、病棟マネジメントによって7対1や10対1の算定を維持できるとするシミュレーションをまとめ、11月20日の中医協総会に提示した。

 シミュレーションでは「50床の7対1病棟(平均在院日数18日)で入院患者の1割が特定除外患者の場合」は、その他の患者の平均在院日数が15日であれば一般病棟7対1の要件を、22日であれば専門病院・特定機能病院7対1の要件を満たすとした。このほか▽10対1病棟(50床)で90日超の入院患者が2割在院している場合▽7対1病棟(50床)で90日超以外の患者の平均在院日数が14日間の場合▽10対1病棟(50床)で90日超以外の患者の平均在院日数が17日間の場合─の4つのパターンで、シミュレーションを示した。

 保険局医療課の宇都宮啓医療課長は「今回提示したシミュレーションでは、現在の平均在院日数の算定方法に従えば、一定程度90日超の患者がいても7対1、10対1の算定は可能。特定除外制度が廃止されても患者の追い出しにはつながらないのではないか」とし、病院が必要と判断すれば一定程度の90日超患者は入院させることができると説明した。

 診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は「われわれも改革を進めたいと考えている。しかし平均在院日数の確保が困難なら、90日超患者は療養病棟入院基本料の算定になる。7対1病院は、かつかつでやっている病院が多く、患者を出しなさいということに近い状態になるのではないか」と指摘した。しかし宇都宮課長は「入院医療の機能分化の推進は、厚労省、医療課の方針だ。7対1、10対1は重症急性期の患者が入るべきだが、若干長期の患者が入らざるを得ない状況もあるので、バッファーとして一定程度の長期患者の受け入れが可能になっている。患者や地域のニーズに合わせた医療機能が大事で、病院側の機能が先にあって患者を集めるのは逆ではないか」と述べた。

●短期手術含めたシミュレーションを/診療側・安達委員
 厚労省のシミュレーションに対して、安達秀樹委員(日医社会保険診療報酬検討委員会委員長)は「7対1、10対1の特定除外患者を今のまま変えないでよいとは言っていない。短期手術を平均在院日数から外そうという提案もあり、シミュレーションはフェアに出していただきたい。中川委員が言ったように、治療が継続できなくなる患者に対して優しくない改革になるということだ」と述べ、改革の方向性には理解を示しながらも、患者への影響を見るには短期手術の見直し案を含めたシミュレーションが必要ではないかと指摘した。

 宇都宮医療課長は、4泊5日以内の短期手術・検査の症例を除いた場合、平均在院日数の差は0.6日の影響とし、手術が極端に多い施設を除けば影響はもっと少ないのではないかと説明した。安達委員は「これまでも平均値で見て改定を行ってきたが、現場に落とし込んだ時に問題だったこともある」とし、引き続き議論していくべきとした。(11/21MEDIFAXより)

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