【中医協】有床診は引き上げ、未妥結減算など適正化も/14年度改定  PDF

【中医協】有床診は引き上げ、未妥結減算など適正化も/14年度改定

 中医協が2月12日に答申した2014年度診療報酬改定の内容は、入院・外来医療の機能分化が最大のテーマになっている。7対1入院基本料の算定要件を厳格化した上で、急性期後の受け皿として「地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1、2」を新設。「地域包括診療料」と「地域包括診療加算」で主治医機能を評価する一方、大病院の初診料と外来診療料の点数を引き下げる際の基準である紹介率・逆紹介率の要件を厳しくするなど、外来の機能分化にも本腰だ。地域包括ケアを担う有床診療所の点数は引き上げた。「未妥結減算」を導入するなど、適正化にもメスを入れている。

●7対1の厳格化
 医療機関の機能分化のため、7対1入院基本料の算定要件を厳格化する。具体的には▽特定除外制度を原則廃止▽重症度・看護必要度の名称を「重症度、医療・看護必要度」に変更し、急性期患者の特性を評価する項目に改変▽短期滞在手術基本料3(4泊5日以内)を「短期滞在手術等基本料3」と名称変更。対象の手術・検査は21種類に拡大して入院1件当たりの全包括とし、平均在院日数の計算対象から除外▽自宅などへ退院した患者の割合を要件に新設▽データ提出加算の届け出を要件に新設―を実施。7対1を絞り込む。

●ICUの評価新設
 より体制の充実した特定集中治療室(ICU)の評価として「ICU管理料1、2」を新設する。同1は7日以内の期間で1万3650点。8日以上14日以内で1万2126点。同2は広範囲熱傷特定集中治療管理料の場合、7日以内が1万3650点、8日以上60日以内が1万2319点。施設基準はどちらも、特定集中治療の経験が5年以上の医師2人以上を含む専任医師が常時ICU内に勤務していることや、ICUの広さが1床当たり20平方メートル以上であること、専任の臨床工学技士が常時院内に勤務していることなどがある。

●大病院の一般外来縮小
 外来の機能分化では、主治医機能を評価するとともに、大病院の一般外来縮小を促す。「紹介率50%未満かつ逆紹介率50%未満」の特定機能病院と許可病床数500床以上の地域医療支援病院を紹介状なしで受診した場合に、282点の初診料を209点に引き下げる。ほかの医療機関へ紹介したにもかかわらず受診した場合、73点の外来診療料を54点に引き下げる。これまでの引き下げ要件は「紹介率40%未満かつ逆紹介率30%未満」だった。

●在宅医療の整備
 在宅医療の整備も進める。単純に充実させるだけでなく、実績を重視してめりはりを付ける。機能強化型在宅療養支援診療所の実績要件は、連携先も含めた全体として、過去1年間の緊急往診の実績を5件以上から10件以上に、在宅看取りの実績を2件以上から4件以上に引き上げる。連携している医療機関にも実績要件を設け、それぞれの医療機関が緊急往診4件以上、看取り2件以上をクリアすることとする。

 緊急時の後方病床の確保では▽許可病床数200床以上▽入院希望患者の緊急入院を受け入れる―などが要件の「在宅療養後方支援病院」を新設し「在宅患者緊急入院診療加算(入院初日、2500点)」の算定を可能にする。

●有床診療所の評価を充実
 地域包括ケアの中で複数の機能を担う有床診の評価を引き上げる。「有床診療所入院基本料」を現在の3段階から6段階に変更する。同基本料1−3は、改定後、4−6に移行し、新たに1−3の同基本料を設ける。新たな同基本料1は「14日以内の期間で861点、15日以上30日以内で669点、31日以上で567点」。看護配置の基準は「基本料1と4が7人以上」「2と5が4人以上7人未満」「3と6は1人以上4人未満」で、基本料1−3を算定するには▽在宅療養支援診療所であり、過去1年間に訪問診療を実施した▽過去1年間の急変時の入院件数が6件以上▽夜間看護配置加算1か2を届け出ている―など11の要件のうち、2つ以上を満たす必要がある。

●向精神薬多剤投与の是正
 向精神薬の多剤投与を是正する。精神科救急入院料などで、処方する種類数に制限のない「非定型抗精神病薬加算2(10点)」を削除し、2種類以下で算定できる「同加算1(15点)」のみを残す。「精神科継続外来支援・指導料(1日につき55点)」は、現在3剤以上の抗不安薬か3剤以上の睡眠薬を投与すると8割に減算されるが、4月以降は算定できなくなる。抗うつ薬を4剤以上、抗精神病薬を4剤以上投与した場合も算定不可とする。

 さらに、抗不安薬3剤以上、睡眠薬3剤以上、抗うつ薬4剤以上、抗精神病薬4剤以上を併用した場合に、処方料は20点に、処方せん料は30点に、薬剤料は8割に減算する。経過措置期間を設け、10月1日から導入する。

●未妥結減算を実施
 許可病床数200床以上の病院で、毎年9月末時点の医薬品購入価格の妥結率が50%未満の場合に、初診料を282点から209点に、外来診療料を73点から54点に、再診料を72点から53点に減算する「未妥結減算ルール」を導入する。保険薬局も減算対象になる。薬価調査の信頼性確保が目的。14年の9月末の妥結率から開始し、減算期間は10月1日から1年間を想定している。(2/13MEDIFAXより)

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