【中医協】有床診の栄養管理、見直し論と原則論で平行線/中医協総会  PDF

【中医協】有床診の栄養管理、見直し論と原則論で平行 線/中医協総会

 中医協総会(会長=森田朗・学習院大教授)が8月21日開かれ、2012年度診療報酬改定で入院基本料や特定入院料の要件に包括された栄養管理実施加算をめぐり「有床診療所については管理栄養士の確保が進んでいないことを踏まえ対応を検討する必要がある」とした「入院医療等の調査・評価分科会」の中間まとめに対し、支払い側は見直し論に慎重な姿勢を示した。

 白川修二委員(健保連専務理事)は「有床診で管理栄養士の確保が困難を極めていることはデータからも承知している。入院患者を引き受けている施設では、食事も治療の一環であることを考えれば管理栄養士の確保は必要だ。ハローワークの活用率が低く、問題は有床診が管理栄養士を確保する努力をどの程度しているかにもある」と指摘した。その上で「管理栄養士を確保しているのが原則。例外は例外として個別に議論すればよい」とし、原則論を重視する考えを示した。

 矢内邦夫委員(全国健康保険協会東京支部長)も「栄養管理実施加算の入院基本料への包括から、有床診だけ除外するという安易なことでよいのか」と問題視した。

 これに対し、中間まとめに沿って有床診の見直しを進めたいとする診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「有床診が管理栄養士を確保するために(ハローワークなどに)相談している比率が低い状況は、広報が十分ではなかったからだと思うが、基本的に中間まとめに沿って有床診については入院基本料などの要件に包括された栄養管理実施加算を外すべきだ」とし、12年度改定前に戻すことが必要とした。

 安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も「有床診と管理栄養士の数だけを見た場合は充足しているように見えるが、実情は地方でも都市部に集中している。現状に即した適切な対応が必要だ」とし、「今後、支払い側の原則論も踏まえながら、地域特性を考慮したより現実的な対応を検討していくことが必要ではないか」と述べた。

●医療体制が不十分な医療圏、拡大容認せず/支払い側・白川委員
 このほか12年度診療報酬改定では、医療提供体制が十分ではなく医療機関の機能分化を進めることが困難な30カ所の2次医療圏に配慮した評価を導入したが、調査の結果、活用している医療機関が限定的だったことを踏まえ、中間まとめでは該当する医療圏の拡大ではなく「現行の評価を継続していくことが妥当」との方向性を打ち出した。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は「(そもそも現在の30カ所の)医療圏の選び方について、もっと検討すべきだったのではないか。(そうしたことが検証できるよう)現場の意見を取り入れた調査項目にしてもらいたかった」と述べたほか、診療側の万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)は「医療提供体制が十分ではない、という概念をもっと広く考えるべきだ」と指摘した。鈴木委員も「まだ議論が十分ではない。検証しながら検討を続けてもらいたい」と述べた。

 これに対して支払い側の白川委員は、活用が限定的との調査結果について「当然だ」と述べた。その上で「現行の体系の中で使いづらい部分があれば改善していくが、これを全国に増やしていくことは容認できない」とし、「あくまで特例」との解釈を堅持していく考えを示した。

 このほか中間まとめの「おわりに」と題する章に記載された「もはや7対1入院基本料を算定する医療機関のみで患者の必要とする医療を完結することは難しい」との文言について、現状の医療提供体制を反映していないとの意見があった。(8/22MEDIFAXより)

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