【中医協】日帰り・短期入院の包括化を推進/厚労省、中医協総会で論点提示  PDF

【中医協】日帰り・短期入院の包括化を推進/厚労省、中医協総会で論点提示

 厚生労働省は5月15日の中医協総会に、短期滞在手術基本料1(日帰り)と同基本料2(1泊2日)の対象手術を受けた患者の多くが規定を超えた入院期間になっており、出来高算定する医療機関が多い現状があるとして問題意識を示した。論点として包括化の推進を提示。診療側も支払い側も反対はしなかったが、より豊富なデータを基に慎重な議論が必要との姿勢を示した。

 厚労省は今後、DPC以外のデータなども可能な範囲で集めて資料を再度示し、議論を継続させる方針。包括化を推進する場合、例えば、15歳未満の一部のヘルニア手術だけを対象にしている基本料3(4泊5日)の対象手術を増やすことなども考えられるという。

 短期滞在手術基本料1と同基本料2は2000年度診療報酬改定で新設された。基本診療料や検査料、麻酔料などの一部を包括した点数で、基本料1は入院当日に退院する眼内レンズ挿入術などが対象。基本料2は入院翌日までに退院する顎下腺腫瘍摘出術などが対象。1も2も、医療機関は出来高算定も選択できる。08年度改定では、標準的治療法が確立されており入院期間や費用に大きな変動のない手術を対象に基本料3を新設した。

 厚労省はDPCデータから、短期滞在手術基本料の対象となる手術症例の在院日数分布を提示。日帰りの基本料1では、眼内レンズを挿入する水晶体再建術の平均在院日数が4.35日、1泊2日の基本料2では、子宮頸部(膣部)切除術が3.98日などだった。

 これらのデータから▽基本料1と基本料2の対象手術をする際、出来高算定が多い▽定めた入院期間を超えはするが、多くの症例が在院日数5日未満に収まる―などを課題に挙げ、今後の論点に、治療・検査の方法や入院期間が標準化されてきているものについて包括的評価を推進することをどう考えるかと示した。

●包括議論「条件と点数が必要」
 議論ではデータ不足を指摘する声が多く上がった。在院日数分布がDPC病院のものだけだったことなどから安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は「これ以上の議論はできない。包括化は実態に合わないと駄目だ。また、包括化をどう考えるかと言われても、条件設定と点数が一緒に来ないと議論のしようがない」と指摘。嘉山孝正委員(全国医学部長病院長会議相談役)は、包括化は良いことだとしながらも「単純な手術でもこれだけ幅がある治療がされているということだ」と、その難しさも指摘した。

 支払い側からは、日帰りのケースと3−4泊かかるケースで何が違うのかを調べるべきとの問題意識が示された。白川修二委員(健保連専務理事)は「(急性期入院はDPCで包括されており)短期も包括化すべきだが、現実と理屈の乖離が大きい実態などを整理すべき」と述べた。

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