【中医協】控除対象外消費税「中医協の外で解決を」/中医協・森田会長  PDF

【中医協】控除対象外消費税「中医協の外で解決を」/中医協・森田会長

 中医協の森田朗会長(学習院大教授)は2月24日、2014年度診療報酬改定の答申をまとめたことを受け取材に応じた。公益裁定した消費増税への補填について「合理的・公正に個別項目に付ける方法がなかったため、基本診療料にほぼ全額補填する裁定案を出した」と説明。「率直に言って、個別の医療機関が負担した消費税を、患者個人が支払う診療報酬で還元するのは不可能だ。中医協の外で話をつけてほしい」とも述べ、10%引き上げからは診療報酬以外の手法での解決に期待をかけた。

 森田会長は中医協会長として2度目の答申をまとめた。今改定の議論は比較的スムーズに進んだ印象があるが、その理由として▽事務局が早期から論点を洗った▽データに基づく議論が増えた▽高度急性期の絞り込みについて、1号・2号間で大きな齟齬がなかった―の3点を挙げ「病床機能の分化と在宅医療の推進という大テーマそのものは、当初から共通認識が醸成されていた。ねじれのない政治的な安定も寄与した」と語った。

 増税補填については「診療報酬では制度的に不可能。中医協の外で決着してほしかったが、無理筋の話をどう通すかということになった」と本音を吐露。「事務局も含め、補填すべき個別項目を特定する知恵が出なかったことと、時間的制約もあり苦渋の決断をした」と理解を求めた。控除対象外消費税の解決に向けては「課税して所得に応じた再配分などで調整する方が合理的だろうが、それは中医協の話ではない」と私見を述べた。

 個別改定項目では、「地域包括診療料」の新設と「短期滞在手術等基本料3」で21種類の手術・検査を入院1件当たりの全包括としたことについて「思い切った。ある意味大きな転換点だ」と評価した。

●公益委員「もう少し発言してもよい」
 改定議論の過程では、診療側から「公益委員の発言が多すぎる」という趣旨の指摘があった。森田会長は公益委員の在り方について「財源の話でよく出る答えは『公費を増やせ』だ。ならば、保険者や診療側の利益だけでなく、国民の利益について誰かが言わねばならない。私は、もう少し公益が発言してもよいと考えている」と主張。総会と分科会・部会の関係についても言及し「基本的な共通項は専門家も入れた分科会などの検討に委ね、その答えをベースに総会で議論すべき。分科会などの合意事項は原則的に蒸し返すべきではない」との認識を示した。

●費用対効果「拒否は困難、入れ方の問題」
 14年度改定では導入されなかった費用対効果評価についても問題意識を示した。中医協総会の議論の結果、武田薬品工業の肥満症治療薬「オブリーン錠」の薬価収載が保留になったことについて「費用対効果に直結する話」と指摘。「これまでは薬事承認されれば、ほぼ自動的に保険収載されていたが、収載する必要性があるのかという問題になった。慎重なルール作りが必要な部分だ。薬価が付かなければ、医師が処方したくて患者も使いたいとなった場合に、いわゆる混合診療の話になる可能性もある」と述べた。

 今後の費用対効果に関する議論については「どのような形で薬価などに反映させるかという仕組みを検討する必要がある。どこで価格を決めるのか、データをどう集めるのか、どこで審査するのかという大変な話になるが、こうした制度面の話をしないといけない。財政制約が厳しくなる状況で、拒否することは難しいだろう。導入手法の問題だ」とし、次回改定以降の重要事項に挙げた。(2/25MEDIFAXより)

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