【中医協】在宅自己注、指導状況把握で文書提出/厚労省、中医協で要件案  PDF

【中医協】在宅自己注、指導状況把握で文書提出/厚労省、中医協で要件案

 厚生労働省は11月15日の中医協総会(会長=森田朗・学習院大教授)に、在宅自己注射指導管理料をめぐり、導入前の指導体制などを明確にするため、新たに「文書等での確認」を設けるほか、薬事法上15日間以上の間隔をあける注射などについては算定の対象外にするなど、在宅自己注射の頻度に応じた評価体系に改めるよう提案した。

 在宅自己注射については、2005年4月に出された留意事項として、導入前に入院または週2回もしくは3回以上の外来・往診・訪問診療によって、医師が十分な教育を行うことや、廃棄物の適切な処理方法などについても指導を行うことなどが記載されている。しかし、厚労省は導入前の指導状況や内容が把握できていないことや、対象薬剤によっては投与頻度がさまざまであるにもかかわらず一律の評価になっていることなどを課題として挙げ、在宅自己注射の導入初期の評価や、一定期間経過後の評価の在り方、導入前の指導状況を文書などで確認することなどを論点として示した。

 これに対し診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「在宅自己注射の導入初期の評価と一定期間が経過後の評価は、一律には考えられない。糖尿病のように、指導の必要性は減少していくが、合併症や高齢化によって基礎管理に手間が掛かるようになることもあり、状態に応じて継続的に算定できるようにすることが必要だ」と述べ、一律に決めることに懸念を示した。

 支払い側の花井圭子委員(連合総合政策局長)は「対象注射薬によって回数、期間などでばらつきがあることを踏まえ、在宅自己注射を実施するに当たっての留意事項の見直しを検討していくのか」と事務局に質問した。厚労省保険局医療課の宇都宮啓課長は「留意事項では、在宅自己注射の導入に際しては、十分な指導をすることになっている。その実施状況を把握していくため文書で確認してはどうかと考えている」とし、「もし、文書で書くことを算定要件に組み込むことになれば、文書がきちんと書かれていない、あるいは指導が不十分ということであれば、在宅自己注射指導管理料は算定できなくなるということだ」と説明した。

●たばこ対策、支払い側から厳しい意見
 中医協総会では、ニコチン依存症患者の治療についても取り上げた。厚労省は「ブリンクマン指数が200以上」の算定要件では多くの若年依存症患者が、ニコチン依存症管理料を算定できない現状や、入院中でも指導管理を行うことを前提に禁煙補助剤の処方を認めるかなどを論点として提示。この問題については、支払い側から厳しい意見が相次いだ。白川修二委員(健保連専務理事)は「若年層のニコチン依存症の禁煙成功率を年代別に教えてもらいたい」とデータを求めたほか、石山惠司委員(経団連・社会保障委員会医療改革部会部会長代理)は「たばこは嗜好品であり、保険になじむのか。自己責任ではないのか」、田中伸一委員(全日本海員組合副組合長)は「20代の禁煙は健康教育が先であり、それを依存症だからといって治療をするというのは本質的な話ではないのではないか」と述べた。宇都宮課長は「ニコチン依存症は病気である」とし、理解を求めた。(11/18MEDIFAXより)

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