【中医協】在宅専門でも「外来応需の体制」は必要/中医協総会で診療側
中医協総会は10月30日、前回の総会に引き続き、在宅医療問題を取り上げた。「在宅医療専門診療所」については、患者ニーズの結果と受け止める支払い側と、在宅医療に専門特化するのではなく外来も確実に機能させるべきとする診療側で見解が分かれた。厚生労働省は10月23日の総会で、保険医療機関に求められる「外来応需の体制」が在宅専門医療の妨げになっているとの指摘があるとして、外来応需体制に代わる在宅専門医療機関の要件案を提示していた。
診療側の安達秀樹委員(日本医師会・社会保険診療報酬検討委員長)は「急速なスピードで大規模化した在宅医療専門のクリニックが増える一方で、一つのビジネスとして軽症患者対応型の在宅医療が出てきている。次期改定で一定の対応が必要ではないか」と主張。「在宅医療はかかりつけ医機能の延長と考えている。患者の家族関係や病歴なども分かっている形で在宅医療を担うのがよいと感じている。一方で、在宅医療専門クリニックは、社会的に求められている一つの形だろうが、外来機能は持つべきだ」と指摘した。
鈴木邦彦委員(日医常任理事)も「かかりつけ医が在宅医療の中心を担っていく。大都市には外来をせずに在宅医療に特化する診療所が出てきている。その観点からも在宅医療専門クリニックを別枠で認めるのはふさわしくない」とした。
一方、支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「在宅医療を担う医師はかかりつけ医が理想だろうと理解する。ただ、現実の問題として数少ない医師が在宅24時間対応を行うことは医師の負担が大きすぎる。在宅医療専門診療所の是非は、もっと議論を深めていかないといけないが、歯科、薬局などを含め在宅医療提供体制をつくっていこうという段階で、あまり固定的に考えない方がよいのではないか。地域によってはいろいろな形が考えられ、医師が代わっても24時間対応してほしいという患者もいる」とした。石山惠司委員(経団連・社会保障委員会医療改革部会長代理)は「現段階では、主治医、かかりつけ医機能をどう高めていくかに議論を集中する方が得策ではないか」と述べた。
公益側の関原健夫委員(日本対がん協会常務理事)は「外来診療があってもよいが、それによって在宅医療のキャパシティーが減るのではないかと思うので、今のままでよいのではないか」とし、在宅医療に対する制限が大きくなるように追い込むべきではないとした。
こうした意見に対して診療側の中川俊男委員(日医副会長)は「在宅医療専門クリニックについても外来応需体制を持っていただき、患者が安心できる在宅医療という視点から在宅医療専門診療所の在り方を検討していくべきだ」と述べ、診療側の考え方に理解を求めた。「往診する医師が日によって(次々に)変わるという体制では患者にとって安心できる在宅医療にはつながらないのではないか」とも指摘した。(10/31MEDIFAXより)