【中医協】国家戦略特区で先進医療の新スキーム/中医協総会
中医協総会は3月12日、国家戦略特区の中で運用される先進医療の基本的な枠組みを承認した。国内未承認薬の保険外併用の希望がある場合、より速やかな評価を行い、先進医療の申請から実施まで約6カ月かかっている状況を3カ月に短縮する。国家戦略特区は3月中に5カ所程度決まる見込みとなっている。厚生労働省は今後、先進医療会議の要綱を改正し関連通知を出す。
政府の日本経済再生本部が2013年の10月に決めた「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」には、最高水準の医療を提供する世界トップクラスの国際医療拠点をつくることや、同拠点における保険外併用療養を拡充することが盛り込まれた。中医協総会は3月12日、その方針を受け議論し、厚労省の示した事務局案を承認した。
特区内の新スキームでは、実施医療機関の要件を「臨床研究中核病院、早期・探索的臨床試験拠点と同水準」であることとする。適否は、一定の基準に基づき、先進医療会議が判断する。1特区内の数は厳選する。
対象になるのは、英・米・独・仏・加・豪6カ国のいずれかで承認されている国内未承認薬などを使った保険外併用で、通常より手厚い事前相談をしたり、先進医療会議と先進医療技術審査部会を合同で開催するなどして期間短縮を図る。
先進医療実施までの期間を短縮する枠組みは、抗がん剤についてすでに用意されている。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」が必要性の高さを認めた抗がん剤の適格性を先進医療会議で判断し、国立がん研究センターが技術的な妥当性などを評価するというもので、これも3カ月程度への短縮を目指している。今回の特区内における新たな先進医療制度は、対象疾患を限定しない。
国家戦略特区は3月中に決まる予定。その中に保険外併用を推進したい特区があれば、その特区内に水準を満たす医療機関があるかどうか先進医療会議が審査することになる。
総会では中川俊男委員(日本医師会副会長)が「評価療養は素晴らしい仕組みだ。速さを求めて仕組みを壊さないよう、慎重にして進めてほしい」と求めた。花井十伍委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)も「特区でいろいろな取り組みをしようと考えているようだが、逆に医療の質を損ねることにならないか」と危惧した。(3/13MEDIFAXより)