【中医協】医療資源少ない地域の評価「活用されていない」/中医協・入院分科会  PDF

【中医協】医療資源少ない地域の評価「活用されていない」 /中医協・入院分科会

 厚生労働省は7月17日、中医協の入院医療等の調査・評価分科会(分科会長=武藤正樹・国際医療福祉大大学院教授)に、医療資源の少ない30医療圏(指定地域)を対象に2012年度診療報酬改定で導入した一般病棟入院基本料の「病棟単位」の届け出や「特定一般病棟入院料」が、ほとんど活用されていないとの実態を報告した。委員からは、補助金と診療報酬のすみ分けの検討や、現行体系の充実などを求める意見などが出た。

 医療資源の少ない地域に配慮した評価は、診療側の要求を受け12年度改定で実現されたもので、自己完結した医療提供を進めながらも、医療従事者の確保が困難で医療機関が少ない2次医療圏や離島にある医療機関が対象となった(200床以上病院、7対1病院、10対1病院などは除く)。厚労省が提示した資料によると、12年夏のデータで指定地域での対象医療機関は100を切っており、そのうち一般病棟入院基本料(病棟ごとの看護配置)、特定一般病棟入院料1、同入院料2の届け出施設は、それぞれ1施設にとどまっていた。亜急性期入院医療管理料1(指定地域)と同管理料2(指定地域)の届け出は報告されていなかった。

●複数の機能を重点的に担う志向
 医療資源の少ない地域に配慮した評価に対する影響調査の結果によると、栄養サポートチーム加算の専従要件の緩和に対し、評価しているとの回答が57.2%だった。亜急性期入院医療管理料を届け出た病棟での看護配置の緩和措置に対しては28.6%が評価していると回答した。11年度収支と12年度収支では「少し良くなった」と「少し悪くなった」が32.4%で同等の評価だったほか、「大変悪くなった」との回答が13.5%あり、評価が分かれた。

 指定地域の病院が、今後重点的に担っていこうと考えている機能は「急性期から長期療養の中の複数の機能」が23%、「亜急性期医療機能・回復期リハビリ機能」20%、「急性期医療機能」20%だった。

 こうした現状を踏まえ厚労省は、医療資源の少ない地域に配慮した評価について▽次期改定後も引き続き利用状況の検証を前提に評価を継続していくことをどう考えるか▽亜急性期入院医療の今後の評価体系に準じた評価をどう考えるか▽対象とする医療機関は一定病床以下とするか―の3点を提示した。

 これに対し健保連理事の智英太郎委員は「地域に配慮した診療報酬の利用実態が見えてこない。指定地域の直近の経営実態を明らかにしてもらいたい。患者負担増を考慮すると、補助金と診療報酬のすみ分けを十分検討してもらいたい」と述べた。その上で、対象とする地域は現行基準を堅持し、拡大すべきではないとした。

 日本医師会常任理事の石川広己委員(千葉県勤労者医療協会理事長)は「急性期からの受け入れ、在宅・生活復帰支援、緊急時の受け入れなど、多様な病態の患者に対し、亜急性期入院医療の今後の評価体系に準じた評価を進めることが大事だ。限られた医療資源の中で患者の状態に応じた一体的な医療を提供する必要があり、充実させていくことを考えてもらいたい」と述べた。(7/18MEDIFAXより)

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