【中医協】医療と介護つなぐ「強化型訪看ST」創設提案/中医協で厚労省
厚生労働省は10月23日、次期診療報酬改定でも重点テーマとなる在宅医療を円滑に進めるため、多機能な訪問看護ステーションを「機能強化型訪問看護ステーション」(仮称)として評価する案を、中医協総会に提示した。▽24時間対応▽看取りの実施▽重症度の高い患者の受け入れ▽介護支援専門員(ケアマネジャー)の配置―などに加え、地域の他のステーションや地域住民、病院、ケアマネジャーに対する情報提供・相談機能など、地域包括ケアで中核的な役割を持つ訪問看護ステーションとして位置付けようとしている。
訪問看護については、支払い側・診療側ともに訪問看護全体の底上げを求めている。機能強化型訪問看護ステーションの提案に対して白川修二委員(健保連専務理事)ら支払い側委員は、その実効性に一定の疑問を呈しながらも、今後、具体化に向けた議論を進めていくべきとの方向を示した。
一方、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、訪問看護ステーションはヘルパーと連携しながら24時間巡回型訪問看護の機能を果たすことが第一義とした上で、機能強化型訪問看護ステーションの提案には難色を示し、再考すべきとの姿勢を崩さなかった。西澤寛俊委員(全日本病院協会長)も訪問看護ステーションの大規模化には賛成したものの、機能強化型訪問看護ステーションのイメージがつかみにくいとして慎重な姿勢を示した。
●機能強化型の推進が24時間対応の第一歩/福井専門委員
白川委員は「訪問看護ステーションは大規模化をすれば損益的にもうまくいくが、劇的に大規模センターが増えることはない。訪問看護師がどういう希望を持っているのか、患者居宅とセンターとの移動距離の長さなど複合的に検討していくことが必要であり、単純な機能強化だけでは済まないのではないか」と問題提起した。
これに対して福井トシ子専門委員(日本看護協会常任理事)は「機能強化型を進めることが24時間対応への第一歩であると考えている」とした上で「大規模化が進まない理由の一つにはステーションと患者居宅との移動距離の長さがある。サテライト化、大規模化を進めながら、今回の機能強化型訪問看護ステーションにつなげたい」と述べた。白川委員は「ステーションと居宅の移動距離が問題であれば、機能強化型がサテライト化、ネットワーク化を促進するような要件の設定が必要ではないか」と事務局側に質問した。
厚労省保険局医療課の宇都宮啓課長は「細かい具体的な要件までまだ詰まっていない」とした上で「地域包括ケアの中核的な役割を考えると、訪問看護は医療保険と介護保険の両方の役割を担っており、医療と介護の橋渡し的な役割を担ってもらうことが考えられるのではないか」とした。「大規模化を進めるには、在宅看護を担える人材育成が必要で、機能強化型の一つの機能として担ってもらうことも考えられるのではないか」とも説明した。
機能強化型訪問看護ステーションの在り方については、今後も継続して中医協で議論する予定だ。(10/24MEDIFAXより)