【中医協】初・再診「8点・2点」「12点・3点」増の2案/診療所の消費税補填
厚生労働省は1月8日の中医協・医療機関等における消費税負担に関する分科会(分科会長=田中滋・慶応大経営大学院教授)に、消費税率8%時の診療報酬本体への補填として、診療所について「初診料8点増、再診料2点増」とする案1と「初診料12点増、再診料3点増」とする案2の2通りを示した。いずれの案でも有床診の入院基本料は2%程度引き上げる。診療側委員は「12点・3点」に賛同したが、支払い側は、補填財源のほぼ全てを初再診の引き上げで使い切る案2が提示されたことに不快感を示した。
2014年度診療報酬改定の改定率の消費増税対応分は、本体0.63%増、薬価0.73%増。0.63%は約2600億円の財源で、医科には約2200億円が回る。厚労省は2200億円の医科財源を、病院に1600億円、診療所に600億円配分する考えを提示。病院・診療所の医療費の相対比(69.3%・30.7%)に、それぞれの課税経費率(本体分)を掛けて計算した。
診療所600億円の配分方法では2つの案を示した。約3分の2(400億円)を基本診療料に充て、残りを医療機器を使う検査・処置・手術などの個別項目に回す「案1」と、600億円ほぼ全額を基本診療料に配分し、残り財源があれば個別項目に乗せる「案2」を示した。
支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「分科会の中間整理では、基本診療料への対応を中心としつつ個別項目への上乗せを組み合わせて対応することになった」と述べ、「なぜ財源が余った場合に個別項目に乗せるという案2が出てくるのか。何のための中間整理か」と憤りを見せた。ほかの支払い側委員も同調。白川委員は「再診料が3点上がれば、現在の69点から4%上がる。増税幅を超えている」とも指摘した。
診療側は今村聡委員(日本医師会副会長)が「抜本的な解決を目指す10%引き上げまでのやむを得ない対応で、シンプルな方法がよい。案2を支持したい」と表明。ほかの診療側委員も同様の考え方を示した。白川委員は「配分について、かたくなに頑張る気はなく、基本的には診療側が納得できる形でよい」とも述べたが「患者に、なぜ4%も上がるのかと問われたら答えられない。全部これ(基本診療料)に乗せたらそうなったという理屈はおかしい」と繰り返し反論した。分科会は点数配分を決める場ではないため、田中分科会長は、両論が出たことを中医協総会に報告すると引き取った。
●再診料と外来診療料「そろえるかどうかは改定議論」
厚労省は病院1600億円の配分についても考え方を示した。中間整理に従うと、診療所に乗せた点数と同じ点数(「8点・2点」または「12点・3点」)を初・再診料(外来診療料)に乗せ、余った財源を入院料に回すことになるため「仮に案2が通れば、財源の9割弱(約1400億円)が入院料に配分され、平均的には入院料が2%弱引き上げられる」とした。ただ、「外来診療料の点数を再診料とそろえる考え方もあり得る」と問題提起。外来診療料は現行70点で再診料よりも1点高いため、増税対応の引き上げも1点抑えて再診料と同額にするという考えだ。
これについては「同じにするかどうかは診療報酬改定の中で議論すべき」などの意見が出た。消費税対応ではなく、通常部分の改定議論にゆだねる方向だ。(1/8MEDIFAXより)