【中医協】保険導入の医療技術が縮小、診療側は危惧/中医協総会  PDF

【中医協】保険導入の医療技術が縮小、診療側は危惧/中医協総会

 中医協総会(会長=森田朗・学習院大教授)は1月22日、医療技術評価分科会と先進医療会議から、2014年度診療報酬改定で保険収載する技術に関する検討結果について報告を受け、了承した。診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、改定率の低さが新規医療技術の保険導入を遅延させ、結果的に保険外併用療養の運営に支障を来す可能性をはらんでいると危機感を表明した。安達秀樹委員(日医・社会保険診療報酬検討委員会委員長)も、保険導入の適否が判定できず継続される先進医療技術がたまっていけば、保険外併用療養ではなく混合診療に近い状況に陥ると問題提起し、対応を図るべきとした。

●先進医療から8件保険導入
 14年度改定で先進医療から保険導入されるのは8技術、削除は5技術、先進医療としての継続が52技術となる。12年度改定では、保険導入23技術、削除12件、継続54件だった。

 先進医療会議の委員でもある中川委員は「財源問題は先進医療会議のテリトリーではないと言われたので(発言しなかった)」とした上で、先進医療の過去5年間の1年ごとの実績を見ると、先進医療を受療した全患者数は約1万5000−2万人で安定的に推移しており、順調に保険導入されている証拠と指摘。「非常に低い改定率で保険導入の流れが滞り、先進医療に技術がたまっていくことになれば、ただの混合診療の拡大につながっていく危険性がある。適切な先進医療技術が適切に保険導入されてこそ国民皆保険が守られることになる。厚生労働省は精緻なデータを提示できるようにしてもらいたい」と求めた。

 安達委員も「継続の件数が多いと、継続の期間にもよるが、実質上、混合診療に近い状態を生むということになる。継続が必要というのは、どれくらいの期間やってきて、どれくらい継続していくのか。長期間の継続は混合診療に近いので検証をすべきだ。先進医療会議を刷新した際、この評価は可及的速やかに結果を出して保険収載の適否を判断するとなっていたはずだ」と問題意識を示した。

●医療技術の保険導入は135件
 一方、先進医療以外の医療技術については、医療技術評価分科会が保険導入の優先度が高い技術として135件を選んだと報告。こちらも中医協総会として了承した。

 12年度改定の278件を大きく下回っていることについて、診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「改定財源がないということに起因しているのではないか」と質問。厚労省は「改定率はあるが、分科会としてはあくまでもエビデンスに基づき評価を行った」と答えた。

 安達委員も「今回、前回の半分くらいしか保険収載されない。財源の限定によって優先順位が下にあったものが切られたのではないかということを危惧している。保険収載ができないことによって患者の治療にどういう影響をもたらすのか、どこかで検討することが必要ではないか」と指摘した。

 厚労省は「前々回、前回改定で相当数の技術が保険収載されていることから、結果的に、今回の項目が少なくなったのではないか」と答えた。安達委員は「これらの優先度は、内保連や外保連が示した優先度と合致しているのか」と質問。厚労省は「おおむね合致している」との認識を示した。(1/23MEDIFAXより)

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