【中医協】亜急性期病棟の創設で対立/中医協、7対1の見直しで論戦
中医協総会は11月1日、「入院医療等の調査・評価分科会」の最終報告を受け議論した。7対1入院基本料の要件見直しを求める支払い側と、入院分科会報告の大幅な軌道修正を目指す診療側が対立。次期診療報酬改定に向けた本格的な論戦に入った。
●急性増悪、亜急性期での対応は問題/診療側・中川委員
入院分科会の見直し案の中でも「亜急性期病棟の創設」と「7対1・10対1の特定除外制度の廃止」について診療側は強く異論を唱えた。特に亜急性期について中川俊男委員(日本医師会副会長)は「在宅等で急変したときの患者の受け入れを、亜急性期でも対応できることに問題がある」との危惧を示した。在宅患者は高齢者が多いだけに、亜急性期病棟でも対応できるとすれば、急変した高齢患者が亜急性期病棟しかない病院で処置される可能性が高くなるとし、「根本的な見直しをお願いしたい」と強く主張した。鈴木邦彦委員(日医常任理事)も「在宅患者等の緊急時の受け入れなどは急性期機能と言ってきており、亜急性期での高齢者の受け入れでは現場が混乱する」とし、年齢によって受け入れ先が異なることは問題とした。
●亜急性期病院も急性増悪を診てよい/支払い側・白川委員
これに対し支払い側の白川修二委員(健保連専務理事)は「確かに亜急性期という言葉には、あいまいさがあり課題はある。急性増悪の患者は急性期で診られるだろう。しかし患者の立場からは、亜急性期の病院だから行ってはいけない、ということにはならない。必要に応じて在宅療養支援病院に相談するなど、バリエーションがあってもよいのではないか。亜急性期を持つ病院が急性期の患者を診てはいけないとなれば、患者はどこに行けばよいのか」とし、亜急性期病床の見直しに理解を示した。これに対し中川委員は「急性期病院できちんと診断を受けて、軽症、中等症、重症などを決めるべき。高齢者だから安価な亜急性期でよいだろうという考えが透けて見える」と反論。白川委員は「限定的に考えることはない。救急当番に亜急性期病院が割り付けられることに懸念があるなら、亜急性期病院を外せばよい。固定的に考える必要はない」と譲らなかった。
●年齢差別論は「誤解」/厚労省・宇都宮医療課長
保険局医療課の宇都宮啓課長は「急変時の在宅患者は、亜急性期でも受け入れることができるということであって、急性期で受け入れてはいけないということではない」と説明。「年齢によって搬送先医療機関が変わるというようなことは、分科会で議論されたことはなく、報告書にも書かれていない。著しい誤解だ」と述べ、理解を求めた。(11/5MEDIFAXより)